本研究は、日本語版CPOTの信頼性と妥当性の検証と言語的コミュニケーションが困難な患者の痛みを的確に把握するためのアセスメントツールを開発することを目的として行った。 最終年度は前年度に引き続き、日本語版CPOTの信頼性と妥当性の検証を行いながら、研究に同意の得られた患者のICU在室中の観察を行ったり、看護ケアを行いながらの会話や診療録から痛みについての情報を得、さらにICU退室後、状態が安定した時期にICU入室中の体験についてインタビューを行い、具体的な痛みの観察項目を抽出するためのデータ収集を行った。 日本語版CPOTの信頼性と妥当性は、評価者間の信頼性、基準関連妥当性、弁別妥当性、並存妥当性が確認、作成した日本語版CPOTは、痛みの程度を評価することができると判断した。 痛みのアセスメントツールは、4段階の構成となった。まず、RASSで鎮静状態を評価し、深い鎮静状態である-4以下の場合は、その時点でそれ以上の痛みのアセスメントは行わない。-3以上の場合は、今回作成した日本語版CPOTで痛みの有無や程度を評価する。痛みが少しでもある場合は、緊急な処置を要するかどうかを判断する。緊急を要する疾患が疑われる場合には、ただちに医師に報告する。緊急を要しない場合は、痛みの部位や性質を特定するために、看護師が観察とクローズドクエスチョンを行う。この観察項目と質問項目は今回の研究で明らかとなった痛みの直接的要因(創、ドレーンの挿入、背部の痛みなど)、痛みを増強させる要因(咳、気管内吸引、体位変換など)、鑑別が必要な症状(口渇、吐き気、倦怠感など)とした。痛みの部位や性質の特定を行い看護援助を行った後、痛みの程度がどのように変化したか、日本語版CPOTを用いて評価する。
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