研究課題/領域番号 |
23792587
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
犬丸 杏里 三重大学, 医学部, 助教 (60594413)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵癌 / 体験 / 患者 / 看護 / インタビュー / QOL |
研究概要 |
【目的】膵癌患者の闘病体験を記すとともにQOLを明らかにし、膵癌患者に対して看護師が日常で使える支援を明示する。【意義】膵癌は早期発見が難しく、予後不良の癌である。自らが病を患った時、他の闘病体験を知ることは疾患に対する受け入れや覚悟をする為に役立つと言われている。また、患者がどのような支援を必要としているのかを明らかにすることは、看護支援を行っていく為に大切なことである。看護支援の可視化が必要と言われる中で看護師の支援を記述することは、看護の知的財産を共有することであり可視化に貢献することになる。【データ収集】倫理委員会の承認を得た後、施設から対象者を紹介してもらいインタビュー調査を開始した。【対象者】1.膵癌患者17名(男性9名、女性8名)、2.膵癌患者をケア対象とする看護師10名(女性10名)であった。【進捗状況】1.闘病体験を記すために膵癌患者へのインタビューを行った。(1)化学放射線療法開始時、(2)化学放射線療法終了時、(3)手術終了時の3回インタビューを行った。当初の予定では1人の参加者に3回インタビューを行う予定であった。しかし、アプローチできた時期が手術終了後であったり、途中で治療が終了したりし、1回で終了した場合もあった。そのため参加人数は当初予定より増やし、現在17名へのインタビューを終えた。現在分析中である。2.膵癌患者への看護支援を記すために膵癌患者をケア対象とする看護師へインタビューを行った。10名のインタビューを終えた。現在分析中である。インタビュー内容を分析するに当たり、質的因子探索研究方法論の1つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。分析方法の妥当性を高めるために、当研究方法論の研究会に参加し、分析経過を報告し意見交換を行った。【今後】分析を重ねていき、結果を学会等で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究目的】1.膵癌のため入院している患者に対して、治療前・後、手術後の計3回、半構成的面接を行い、膵癌患者の体験を記述する。2.膵癌患者の面接時に、既存のQOL尺度を用いてQOLを測定する。3.膵癌患者をケア対象とする看護師に半構成的面接を行い、行っている看護支援を記述する。【研究1】(1)化学放射線療法開始時、(2)化学放射線療法終了時、(3)手術終了時の3回インタビューを行った。予定では1人の参加者に3回インタビューを行う予定であった。しかし、アプローチできた時期が手術終了後であったり、途中で治療が終了したりし、1回で終了した場合もあった。そのため参加人数を予定より増やし、17名のインタビューを終えた。現実的に計3回のインタビューが可能な病状の方が少なく、研究内容を深めるためにもインタビューは今後も重ねていく予定である。【研究2】QOL尺度を用いた調査は患者の置かれている心理的・身体的状況から、書類への記入は自由意志とした。また対象人数が少ないことから、1人の患者のインタビュー時期の変化として捉え、数値的に結果を提示するのは難しい。そのため、研究1のデータと重ねて分析結果を提示していく予定である。【研究3】当初から予定していた人数10名のインタビューを終えた。研究1とは別に研究を行っており、データから内容分析を実施予定である。【結論】分析が当初予定より遅れているが、データはそろっており予定通り2年間で結果を学会・論文等で発表予定である。進捗状況は良好といえる。
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今後の研究の推進方策 |
分析方法の研究会へ参加し分析を重ねていき、参加者への確認および更なるインタビューを行い、結果をまとめていく。その結果は、日本看護科学学会、日本がん看護学会にて発表予定。論文投稿も同学会等を予定している。また、関連する学会や研修会への参加を積極的に行い、最新の研究情報や知識を得る。今後、海外学会発表や英論文投稿等を視野に入れて活動していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にインタビューのテープおこし、学会・研究会への参加費用(17th INTERNATIONAL CONFERENCE ON CANCER NURSING、第32回 日本看護科学学会学術集会、第27回 日本がん看護学会学術集会、M-GTA研究会)に当てる。
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