研究課題/領域番号 |
23792590
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葉山 有香 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師(常勤) (30438238)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | がん / 放射線治療 / 看護 |
研究概要 |
本研究は、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy、以下IMRTと略す)を受ける前立腺がん患者に発生する有害症状の実態と、治療中に患者が行うセルフケア行動についてプロスペクティブに調査し、これをもとに、IMRTを受ける前立腺がん患者への看護介入プログラムを立案し、実施・評価を行うことである。平成23年度は、その第1段階として、IMRTを受ける前立腺がん患者に発生する有害症状の実態を明らかにすることを目的として、調査を行った。 具体的には、前立腺がん患者に多い排尿障害症状とその程度、治療中の症状変化を把握するため、Core lower urinary tract symptom score(以下、CLSSとする)で自覚症状の程度を把握するとともに、尿流量測定器を用いて排尿機能を測定した。調査は、IMRTの開始前、開始から終了までの6週間において毎週1回とした。 CLSSによる評価の結果、前立腺がんでIMRTを受ける患者には、治療の初期段階から様々な排尿障害症状が出現していることが明らかとなった。また、治療中には、治療前と比較して排尿回数の増加がみられる対象者が多く、重度の症状として失禁を経験する者も少数ではあるがみられることが明らかとなった。排尿回数の増加に伴い、1回排尿量も減少していた。しかし、治療の有害症状がみられた場合であっても、内服薬等により症状の軽減が図られ、対象者は治療を継続することができていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の予定を達成し、IMRTを受ける前立腺がん患者に生じる有害事象が明らかとなったため、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の予定を達成し、IMRTを受ける前立腺がん患者に生じる有害事象が明らかとなった。そのため、平成24年度は、IMRTを受ける前立腺がん患者が治療中に行ったセルフケア行動と排尿障害の程度の関連を見出し、IMRTを受ける前立腺がん患者に効果的なセルフケアを検討するとともに、看護介入プログラムを立案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年3月11日に発生した震災により、得られた研究費の減額の可能性があると通知を受け、高額な測定器の購入を控えた。そのため、次年度への繰り越しが発生した。 平成24年度は、研究を推進するために、国内における放射線治療・放射線看護・がん看護を中心とした学会に参加し、必要な情報収集を行う予定である。また、平成23年度に得られたデータを学会で発表する予定である。また、引き続き研究フィールドに出向き、看護介入プログラムの立案に関連した会議等を行う。 その他、研究フィールドへの出張等を行うための費用、雇用費、事務用品の購入費等が必要である。
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