研究課題/領域番号 |
23792599
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山口 さおり 鹿児島大学, 医学部, 助教 (10404477)
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キーワード | セルフマネジメント / HTLV-I関連脊髄症 |
研究概要 |
本研究の具体的な目的は、日本におけるHAM患者のセルフマネジメントの過程を質的に探究することである。今年度は、まず平成23年度に実施できなかったデータ収集方法およびデータ分析方法を以下の通り確立した。 データ収集方法としては、HAM患者が、HAMによって引き起こされる慢性の状況をどのようにセルフマネジメントしているのかについての洞察を得るため、半構造化面接法を採用した。インタビュー中、またはインタビュー前後で観察したことや非公式のインタビューは、研究参加者の同意を得てフィールドノートに記録し、データとして取り扱うこととした。また、セルフマネジメントプロセスについてのより濃密な記述を得るため、自由回答式質問紙法も併せて用いることとした。 データの分析方法は、StraussとCorbinによって開発されている手続きを基本とし、その流れを汲む戈木が示した分析技法に基づいて実施することとした。データ分析の過程では継続比較が用いられ、オープン・コーディングopen coding、アクシャル・コーディングaxial coding、セレクティブ・コーディングselective codingという3つの過程を経てデータの中から概念を抽出し、その抽出した概念を統合して理論を構築していく。 平成25年1月に本研究の実施に際して、所属研究機関の倫理審査に申請し、承認を受けた。また、研究参加者の募集のため、HAM患者会アトムの会が所属するNPO法人スマイルリボン(日本からHTLVウイルスをなくす会)の代表者とコンタクトをとり、研究参加者募集について協力を依頼し、同意を得ることができた。現在、研究参加者の候補となる患者会会員へ配布する「研究参加協力のお願い」に関するリーフレットの送付準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度の達成度を踏まえて取り組んだが、研究方法を最終的に確立するまでに時間を要してしまった。その理由としては、教育その他のエフォートが大きく、当該研究に取り組む時間を十分に確保できなかったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度早々には、データ収集が開始可能な状態であるので、本研究への参加同意が得られた20歳以上のHTLV-I関連脊髄症患者30名に対して、HAM患者のセルフマネジメントプロセスについて情報収集を行う。データ収集と並行してデータ分析を行い、分析結果が理論的に飽和するまで、データ取集・データ分析を継続する。また、研究成果の論文化を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、データ収集に移行できなかったため、データ収集に関する旅費および謝金を使用しなかった。また、データ分析の指導を受けるための旅費および謝金を使用しなかったため、次年度に使用する研究費が生じた。 来年度は、データ収集・分析を遂行するに当たり、来年度請求する研究費と合わせて旅費および謝金として使用する計画である。
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