本研究の目的は、日本におけるHTLV-1関連脊髄症(HAM)患者のセルフマネジメントの過程を質的に探究することである。平成26年度は、データ収集計画を練り直した上で、本研究への参加同意が得られた20歳以上のHAM患者20名に対して、HAM患者のセルフマネジメントプロセスについて、インタビューによるデータ収集およびデータ分析を行い、分析結果が理論的飽和に達するまでデータ収集・分析を継続し、研究成果の論文化を目指す計画で研究に取り組んだ。 まず、実際のデータ収集に移行する前に、作成していたインタビューガイドを見直し、リサーチクエスチョンに基づいた各質問の意図を明確化した上で、それぞれの質問項目の関係性を明らかにし、効果的なインタビューになるよう準備に努めた。 並行して、前年度に「研究参加協力のお願い」のリーフレットを送付し、回答を頂いていたHAM患者会の107名の方の回答内容を確認した。107名のうち、研究協力の意思および詳細な説明や資料を求めると回答頂いた92名に、研究に関する説明書を簡略化した文書と再度意思確認を問う用紙を送付した。その結果、30名の方から研究参加協力の回答が得られ、データ収集を開始する運びとなった。 したがって、本研究の成果は理論化ならびに論文として未だ示せる状況にないが、本研究の研究成果を基盤として、HAM患者のセルフマネジメントを査定するツールの開発につなげる研究の展開も計画しているため、継続して研究に取り組み、早急に成果を公表できるよう努めたい。
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