研究課題/領域番号 |
23792603
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
平野 裕子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (40369377)
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キーワード | 死後の処置 / 看取り / 看護師 / 死への態度 |
研究概要 |
今年度は、死後の処置を教える先輩看護師の新人看護師に対する指導支援に関する実態調査のほか、がん診療連携拠点病院および緩和ケア病棟のある病院を対象に実施した死後の処置を含む逝去時の対応に関する看護手順書の実態調査(149病院、回収率26.4%)について分析および検討を行なった。 死後の処置を含む逝去時の対応に関する看護手順書の実態調査においては、死後の処置の目的、手技、実施方法を中心とした死後の処置(エンゼルケアを含む)と家族への配慮(死後の身体変化の説明を含む)、看取りの看護、霊安室への移送・見送り、死亡診断書を含む事務手続きなど死者や遺族への配慮、医療者として死者へ向かう姿勢や態度などを中心とする逝去時の対応に分かれており、それぞれを独立、または逝去時の対応の1項目として死後の処置を取扱うなど手順書の位置づけは様々であった。 死後の処置の「目的」に注目した場合、厳粛、敬虔など死後の処置に臨む医療者の態度・姿勢、死後の身体変化に合わせた整容による死者の尊厳の保持(エンゼルメイクを含む)、死別により家族に生じる悲嘆や心の整理の促進、宗教・文化・価値観を尊重した別れへの配慮に分類できた。しかし、死後の処置の「手技」「実施方法」は、箇条書きのみ、または1手順毎に配慮や注意点の詳細明記まで施設間によって大きな差がみられた。特にエンゼルメイク(髭剃りや開眼時の対応などを含む)、体幹冷却、口腔ケア方法、ペースメーカーなど体内留置物の除去の有無などにおいては、記載内容の差が大きかった。一方で、死後の処置実施人数は「2名」、死後の処置実施者として「介護員」と明記されている手順書もあった。 今後は、Berelson,Bの内容分析を参考に、更に分析を進めていくとともに、結果をプログラムへ反映させながら課題を達成させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度、死後の処置を教える先輩看護師の新人看護師に対する指導支援に関する実態調査において、インタビュイとの調整が難航したため、当初の計画案より1年遅れて調査を開始しており、研究全体の進捗に影響を及ぼしている。 現在、死後の処置を教える先輩看護師の新人看護師に対する指導支援に関する実態調査、緩和ケア病棟およびがん診療連携拠点病院における逝去時の対応に関する看護手順書の実態調査について同時に分析、検討を実施している。しかしこれらを基に有識者の示唆を得て、プログラムの作成までには至れていない。
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今後の研究の推進方策 |
看取りのケア充実に向けた死後の処置教育プログラムを作成することを最終目標にしている。2つの調査結果を明らかにし、前課題で得られた内容を含め有識者からの示唆を得た上でプログラムの作成を目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度、死後の処置を教える先輩看護師の新人看護師に対する指導支援に関する実態調査において、インタビュイとの調整が難航したため、当初の計画案より遅れて実施しており、プログラム作成に関する作業ができていない分の繰越額が生じている。 プログラムの作成を目指し、有識者からの示唆を得ていくとともに、研究成果の公表などを行い、適切に執行していきたい。
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