本研究は、看護師が患者や家族の思いを尊重した、グリーフケアにつながる死後の処置を提供するため、看取りのケア充実に向けた死後の処置教育プログラムを構築することである。今年度は、死後の処置を教える先輩看護師20名を対象とした新人看護師に対する指導や支援に関する実態調査(平成24年12月~平成25年1月実施)、がん診療連携拠点病院および緩和ケア病棟のある病院を対象に実施した死後の処置を含む逝去時の対応の看護手順に関する実態調査(平成24年4月実施)についてそれぞれ再分析を実施した。 その一部として、都道府県がん診療連携拠点病院12施設(23.5%)における死後の処置を含む逝去時の対応の看護手順書に明記されている家族へのかかわりには、<別れ時間の確保><生前の様子伝達><死後のケアへの参加呼びかけ>など【悲嘆への気遣い】、<貴重品の返却><死後のケア所要時間の伝達><帰宅方法の確認><死亡診断書の説明><会計方法の説明>など【退院の手続き】、<遺体変化への対応><希望着衣の確認><宗教や価値観などの確認>など【死者への尊厳保持】の3カテゴリーが抽出された。一方で、臨死期の家族へのかかわりを予後月単位で示しているものやグリーフケアの目的などが含まれている手順書などもあり、手順書をみるタイミングと提供すべきケア時期が一致した上でケア提供できるようにする必要性が確認できた。これらを踏まえて、現在看取りのケア充実に向けた死後の処置教育プログラム案を作成しており、協力内諾の得られている2病院での施行には至れなかった。
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