本研究の目的は、放射線療法を受ける頭頸部がん患者の口腔内セルフモニタリングシートを開発することである。平成24年度は本研究の最終年度であり、前年度に明らかになった、放射線療法あるいは化学放射線療法を受けている頭頸部がん患者の口腔内の状態の悪化指標である、口腔粘膜炎の症状に関する内容、口腔内乾燥の症状に関する内容、味覚障害の症状に関する内容、疼痛、機能障害に関する内容を含むセルフモニタリングシートの試案の作成に取り組んだ。 研究者、実践家、がん看護専門看護師との交流を通じて、施設での実際についての情報を収集し、セルフモニタリングシートの項目や内容の精錬を行った。その結果、食事に関連させて口腔粘膜炎、唾液の変化、味覚変化を問う表現にすることが望ましいことが分かった。また、口腔内の観察に関しては、口腔粘膜炎の評価指標となる色や写真の提示、観察方法の具体をあらかじめモニタリングシートに記載しておくことが望ましいことが分かった。 化学療法の併用の有無により口腔粘膜炎の発生場所が異なることや口腔内の状態が悪化する時期が異なる傾向が見受けられたため、治療内容や治療時期に合わせてモニタリングシートの項目を変更することが、現実的な運用には必要であることが分かった。洗練させたモニタリングシートを、実際に臨床において運用するために研究協力施設と今後話し合う予定である。また、今年度の成果に関しては今後学会等で発表する予定である。
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