抗がん剤の化学療法受けている患者における口内炎の予防の一つにクライオセラピー(冷却療法)があり、抗がん剤の点滴の際に、口腔内に氷を含み、口腔内の血管を収縮させることによって、抗がん剤が口腔内の血管へ浸透するのを防ぎ、口内炎の原因となる活性酸素の発生を予防することで口内炎の軽減を図るといわれている。日本においては、エビデンスを明らかにするための研究が十分行われていない状況があり、今回、全国のがん診療連携拠点病院をはじめとしたがん診療に携わる病院において、臨床的にクライオセラピーを実施している疾患やレジメン(治療法)、実施時間や内容などを調査し、日本でのクライオセラピーの実態を明らかにしたいと考えた。 平成29年2月下旬から3月上旬にかけて、日本国内でがん診療に携わる病院(地域がん診療連携拠点病院、都道府県がん診療連携拠点病院、国立がんセンター、特定領域がん診療連携拠点病院)の看護管理者あてに依頼文と調査票、返信用封筒を送付し、化学療法を実施している看護師より回答を得た。送付医療機関は427施設、枚数は病院の規模を考慮して1施設に複数枚送付し、合計1500枚配布した。調査票を返送した医療機関数は127施設(回収率29.7%)であり、施設名が不明・未記入は46件であった。また、回収できた調査票数は294枚であった。回収された調査票からは、クライオセラピーの実施が全国的に行われている実態(対象疾患、レジメン、方法)が記載が多くみられた。年度内での分析まで行えなかったため、今後詳細に分析を行い、関連する学会への発表と論文を作成し、報告を予定している。
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