研究課題/領域番号 |
23792608
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
布谷 麻耶 (吹田 麻耶) 愛知県立大学, 看護学部, 客員共同研究員 (70514735)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 看護学 / クローン病 / 行動分析学 / 食事指導 |
研究概要 |
本研究は、クローン病患者が自律的に、新たな食品が再燃誘引食品か否かを見極める行動(以下、試し体験行動)を起こし、摂取可能食品を安全に拡大することを目指すものである。 平成23年度は、患者の試し体験行動の維持を目指し、これまでに開発した食事指導プログラムを基に行動分析学的アプローチを組み込んだ修正プログラム案を作成した。具体的な修正点は、試し体験行動を強化するために、(1)介入期間を8週間から20週間に延長したこと、(2)患者による再燃誘因食品の弁別の適否に対して医療者が評価のフィードバックを行う回数を増やすとともに連続強化から間欠強化へと移行する強化スケジュールを採用したこと、(3)フォローアップ期において医療者による評価のフィードバックは行わないが、定期的に研究者へ食事日記の提出を求めること、の3点である。 プログラムの効果を評価するアウトカム指標はこれまでの研究と同様、(1)生理学的データ(CRP;C-reactive protein、血小板、血清タンパク、アルブミン、ヘモグロビン)、(2)クローン病の活動度(IOIBD;index of inflammatory bowel disease)、(3)症状(腹痛、下痢、血便)の出現頻度、(4)試し体験行動の頻度、(5)食事満足度(量的満足度と質的満足度)とした。 上記の修正プログラム案を作成後、関西地区の1医療施設に研究協力を依頼し、当該施設の臨床研究等による倫理委員会の承認を得た。平成23年9月より消化器内科外来を定期的に受診するクローン病患者を対象に研究への協力を依頼し、15名より参加の同意が得られ、プログラムの適用を開始した。現在までに12名が参加を継続しており、強化スケジュールに則り介入を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画通り、修正プログラムについて検討し、最終的に実施するプログラムを完成させることができた。 また、関西地区の1医療施設に研究協力を依頼し、当該施設の倫理委員会の承認および外来担当医師の協力を得たうえで、クローン病患者を対象に介入を開始することができた。本研究の対象者の条件に適う患者が少なかったため、当初計画していた人数ほど対象者を確保することはできなかったが、現在までに12名の参加者に介入を継続している。 以上より、今年度の研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き参加者に強化スケジュールに則りプログラムを実施していく。あわせてアウトカム指標のデータ収集を行い、プログラムの効果を分析、評価する計画である。 今年度は、これまでの研究成果を国内外の学会で発表する計画であったが、修正プログラムの作成と導入が中心となり、成果の発表まで至らなかったため、次年度使用予定の研究費が生じた。そのため、今後はこれまで収集したデータの分析、さらに結果のまとめ、報告を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、引き続きプログラムの実施に必要な物品のほか、収集したデータを分析するために必要な統計ソフトを購入する計画である。 また、研究結果をまとめ、その成果を国内外の学会や学術雑誌で発表するために必要な旅費や印刷費等で研究費を使用する計画である。
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