本研究は、クローン病患者が自律的に、新たな食品が再燃誘因食品か否かを見極める行動(以下、試し体験行動)を起こし、摂取可能食品を安全に拡大することを目指すものである。 平成23年度は、患者の試し体験行動の維持を目指し、これまでに開発した食事指導プログラムをもとに行動分析学的アプローチを組み込んだ修正プログラムを作成した。関西地区の1医療施設の消化器内科外来を定期的に受診するクローン病患者に研究への協力を依頼し、同意が得られた患者に修正プログラムの適用を開始した。 平成24年度は、昨年度から開始したプログラムを、導入期4週間、介入期20週間、フォローアップ期8週間の計32週間から成るスケジュールに則り実施し、11名の患者がプログラムを終了した。プログラムの効果を評価するために、①試し体験行動の出現頻度(回/週)、②クローン病活動度(IOIBD)、③症状(腹痛の程度、下痢の頻度、主観的重症度)、④生理学的データ(CRP、血小板、総タンパク、アルブミン、ヘモグロビン)、⑤食事満足度(量的満足度、質的満足度)をアウトカム指標として、導入期から4週間ごとに計9回、質問紙調査で収集した。 平成25年度は、研究代表者の産前産後休暇および育児休業の取得に伴い、補助事業期間の1年間の延長申請を行った。 平成26年度は、11名の患者から収集した上記アウトカム指標のデータをシングル・ケース研究法の手法を用いて分析した。その結果を論文としてまとめ、看護系の英文誌へ投稿した。
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