研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳卒中急性期患者に対する口腔の衛生・機能維持を目的とした口腔ケアプログラムを開発することである。 平成28年度は、これまでに実施した本プログラムを分析した。 脳卒中急性期患者14名(年齢中央値±四分位偏差:81.5±14.5歳,病日中央値±四分位偏差:15.5±9.0日,歯数中央値±四分位偏差:7.5±23.3本,ALB中央値±四分位偏差:3.4±0.7g/dl)において、脳卒中の発症病日により急性期群6名・亜急性期群8名に分類した。OAGスコア点(平均点±標準偏差)は、14日間を前期・中期・後期の3期に区分した。急性期群は前期(16.6±2.7)点、中期(15.6±1.9)点、後期(15.8±2.0)点、亜急性期群は前期OAG(15.8±4.4)点、中期(15.8±2.3)点、後期(15.6±3.9)点であった。急性期群と亜急性期群およびOAG3期において統計的に分析した。結果、急性期群・亜急性期群のOAG3期における変化に差はなかった(F(1,12)=.657 p=.433)。質的帰納的に分析した結果、介入により改善した患者8名、変化が認められなかった患者3名、悪化した患者3名であった。介入時の非経口摂取患者は10名であり、介入中に経口摂取を開始した患者は4名であった。介入により口腔機能を改善する要因につながったと思われる。さらに、患者からは「してもらったほうがいい」「喉のとおりがよくなる」などの肯定的な意見が聞かれた。一方、悪化した患者はALB2.7g/dl、非経口摂取状態であり歯科治療にて抜歯をしていたことなどが口腔内環境の改善に至らなかった要因と考えられた。 以上のことから、本プログラムにて脳卒中急性期患者の口腔の衛生・機能を維持したことは一定の効果があると確認された。今後、有用性について検討することが課題である。
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