昨年度本年度の研究結果の課題であったケアデザインの獲得へのケアマップ法の効果検証を行った。ケアマップ法は医学モデルに基づき作成されているので、看護学の要素をどのように加え、活用するかを検討するために、基礎教育課程の学生を対象に研究を行ったプログラムは、周手術期看護に関する正規の授業科目内で行った。この科目は、演習中心の授業構成で、以前より本研究を活用し、シミュレーション法、模擬患者法、紙上演習を組み合わせて運用していた背景がある。研究実施に際しては、看護研究倫理審査委員会で承認を得て行った。昨年度までの学習効果の課題として、行動化に関する改善テーマとして「治療内容の理解」、「経時的な視点」、「看護ケアへの応用」を抽出した。知識間、場面間の統合を促進する授業内容が必要であり、この課題に対してケアマップ法を用いた。 本研究の昨年度までの結果を基に【パターン化】を促進するために、授業で用いる事例は各クラスとも共通の事例を用いた。事例は、術後1日目の離床リハビリテーション前後とした。全8回の授業の6回目と7回目のクラスにクリニカルマップを用いた内容を実施し、クリニカルマップを理解する工程と上記課題に対する内容とし、後日提出してもらった。 測定アウトカムとして、授業1回目と8回目に設定した紙上事例に対するレポート内容を5点満点に得点化し比較した。また、「薬効を経時的な視点で評価できているか」を合格基準に前後比較した。結果、得点の前後比較では、前平均=3.75、後平均=4.19で有意な差を認めた(P<0.001)。また、薬効に関する記述の有無は、前後で有意な差を認めた(P<0.001、Odds Ratio=5.083、95%CI:2.35-10.96)。さらに、全学生の84.9%が課題を達成できており、クリニカルマップは知識間、場面間の統合を促進するケアデザインの獲得で有効だと言える。
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