研究課題/領域番号 |
23792616
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
佐藤 大介 宮城大学, 看護学部, 助教 (20524573)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 前立腺がん患者 / 治療 / 意思決定 |
研究概要 |
本研究の目的は、前立腺がん患者がどのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを半構成的面接法によって得られたデータを質的分析方法(グラウンデッド・セオリー・アプローチ)により明らかにし、意思決定の過程において必要と考えられる看護実践内容を抽出し、前立腺がん患者の初期治療に対する意思決定を支える看護実践モデルを構築することである。平成23年度は1.文献レビューとして、前立腺がん患者および他疾患のがん患者の治療選択における意思決定支援に関連する内容の国内外の文献・資料を収集し検討した。2.検討した内容からインタビューガイドを作成し、半構成面接を実施した。対象者は強度変調放射線治療中である前立腺がん患者5名で、初期治療において放射線治療を選択した患者を対象選択の条件とした。調査の実施に際しては、対象施設の診療体制、看護支援体制および外来通院状況を把握するため、事前の研修を実施したほか、泌尿器科専門医や急性期看護に精通している質的研究者から研究計画および分析についてスーパーバイズを受け、結果の信頼性と妥当性の確保に努めた。当初の予定では、手術療法選択者10名、放射線療法選択者20名(外照射10名、陽子線療法等10名)、内分泌療法選択者10名を分析対象としており、各治療法5名の方から研究同意の内諾を得ている。 現在面接調査で得られた録音データの逐語録を作成し、病名を告知された時の思い、治療後の機能障害への不安、主治医からの治療法の説明を受け希望する治療を選択した時の思いなどに着目しながら質的に分析の途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象者は、外来に通院する前立腺がん患者で、主治医から前立腺がんの診断と治療後の機能障害の可能性についてインフォームドコンセントがなされた者とし、初期治療内容として、手術療法・放射線療法・内分泌療法のどれか一つを患者が主体的な意思決定によって選択した者とした。現在のところ放射線治療を行った5名のみ面接を実施した。23・24年度の2年間で、30名の前立腺がん患者の面接を予定しているので、実施状況としてはやや遅れているが、15名の患者から研究同意の内諾は得られている。今後は対象施設の主治医や外来看護師と連携を図りながら、引き続き調査を継続している予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の面接調査時は、平成24年度に行う研究への施設依頼も兼ねて行い、施設折衝で調査の開始が遅れないように工夫した。また調査内容が羞恥心を伴うものも含まれており、調査場所の環境調整等の倫理的な問題には十分配慮し今後も研究を実施していく必要がある。現在行っている施設で、当初の予定通りの対象者の確保は問題ないと考えているが、場合によって対象者の人数が少なくなった場合は、調査の進捗状況から随時対象施設を増やすことができるよう、事前に関連する病院に相談しておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を円滑に行うためには研究協力者から専門的な知識や助言が不可欠である。また年度毎に研究協力者のもとを訪れる必要もあり、謝金および交通費は必要な経費である。国内における学会参加や海外での資料・情報収集は先駆的で独創的な研究、情報を得ることで、面接内容から得られたデータ分析時に幅広い知識や根拠を持って対応できるため必要である。また研究成果の発表においては学会で発表し、学術誌に研究論文を投稿することで社会への発信につながるため参加費・宿泊費等は必要である。消耗品費は用紙や記憶媒体、印刷等について資料等を作成する上で日々消費するものであり必要である。
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