研究課題/領域番号 |
23792617
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
大場 美穂 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (20451768)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 糖尿病性足潰瘍 / サーモグラフィ / フットケア / 炎症 |
研究概要 |
透析を導入している患者は、皮膚が乾燥しやすく、弾力性の低下などがみられる。特に糖尿病性腎症により透析を導入している患者は、閉塞性動脈硬化症などによる血流低下、末梢神経障害による知覚低下および足趾の変形、自律神経障害による発汗の減少に基づく皮膚の乾燥・ひび割れ、蛋白異化・低栄養状態による皮膚の弾力性減少、慢性的高血糖による免疫力低下などを認める可能性が高く、足病変の発生および悪化のリスクが高いという特徴がある。実際、四肢壊死発生率に関しては、一般人に比べて非糖尿病透析患者が82.6倍、糖尿病性透析患者が481.4倍であるという報告が見られている。潰瘍や壊疽などの足病変は一旦できると治癒が難しい傾向にある。感染リスクの高い糖尿病性腎症の透析導入患者においては、足病変の前段階である炎症を早期発見していくことが重要であると考えられる。しかし、透析患者の足の実態や、潰瘍や壊疽の起こりやすい人の特徴などについては不明であり、その実態を明らかにすることは大事であると考えられた。本研究では、定期的に通院して透析を行っている患者の足のアセスメントを実施した。透析をしている患者の足底部の皮膚は全体的に乾燥傾向が見られた。複数個所の胼胝、爪病変が多く見られた。その一方で、軽度の乾燥のみで著名な足の所見のない者もいた。これらの患者は概して歩行時間が短かった。今後さらに症例を増やしていき、統計的な分析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象施設の医療施設は非常に協力的ではあるが、スタッフが研究に不慣れであるため、指導を行いながら研究を進めているため。また、患者に自身の足を見る習慣がなく、足を見ることや医療関係者による評価が大事であることの必要性を理解していただくための教育がまず必要であることから、当初の計画よりやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き透析患者の実態調査を進める傍ら、H24に予定している炎症所見が見つかった患者に対する定期的な足のアセスメントを行うとともに、患者教育を行い、教育効果の評価を行っていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は研究者の所属変更があったため、エコーを購入し研究を継続していきたいと考えている。また、足のアセスメントや患者教育、フットケアに必要な消耗品の購入する予定である。さらに、研究施設への旅費、研究成果の学会発表、論文化等に活用していきたいと考えている。国内で開催される国際学会や学会に参加し、他の研究者とのディスカッションを行う予定である。
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