【背景】循環器リハビリテーションは循環器死亡率の低下と健康関連QOLに有益である。【目的】日常の活動強度と予後規定因子とされる自律神経活動との関係を明らかにし、在宅運動療法への示唆を得ることを目的とした。【方法】対象者は、地域のクリニックにおける高血圧症、虚血性心疾患患者(n=41)とした。2012年度は研究実施施設を増やした影響により備品が増加した。研究参加者には普段と同じ生活の中で、開始時(0か月)、6か月の各1か月間、活動量計にて活動量と3Mets未満の活動(LA)として、3Mets以上の運動(WA)として測定した。また0か月、6か月に24時間ホルター心電図検査を実施した。自律神経活動指標として副交感神経活動指標(HF)と、交感神経活動指標(LF/HF)を全体と睡眠時間帯(sleep)で算出した。これらの指標を用いて6か月で活動量が増加した群(IC)と減少した群(DC)で、さらにHFの増加、LF/HFの減少と活動強度LA、WAの関係を明らかにした。【結果】DC群のHF、LF/HF、sleep HF、sleep LF/HFの0か月と6か月の間に有意差は認めなかった。IC群のHFは0か月と6か月の間に有意に増加し(p =0.048)、sleep LF/HFは有意に減少した(p =0.038)。またLAの増加はHFの増加に影響していることが認められた(p =0.056)。WAの増加はHFの増加に、LF/HFの減少はLAの増加とWAの増加に影響していたが、統計学的有意差は得られなかった。【結論】活動強度3Mets以上の増加は、副交感神経活動指標を上昇させることが示唆された。3Mets未満の増加は、副交感神経活動指標を増加させることに加え、交感神経活動指標を低下させることが示唆された。日常生活の断続的な活動でも増加することで、予後の維持改善に効果がある可能性が示唆された。
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