研究課題/領域番号 |
23792637
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
内海 加奈子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (20583850)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 慢性腎不全 |
研究概要 |
今年度は、学童・思春期にある慢性腎不全をもつ子ども6例を対象に、子どもの成長発達に沿った病期、医療施設の移行の経験とセルフマネジメントの特徴、およびセルフマネジメントへの影響要因を明らかにするために質問紙調査と面接調査を行った。その他にも継続して4例の子どもにデータ収集実施施設にて継続して関わり、分析の妥当性、信頼性の確保に努めた。対象者は、9歳~20歳の男性3名、女性3名、病期は腹膜透析2名、血液透析2名、腎移植後2名であった。発達段階は、学童期1名(9歳)、思春期前期(11歳)1名、思春期後期〈16歳から20歳)4名であり、すべてのケースで小児専門病院以外に移植病院や透析クリニックの転院・転科を経験していた。各ケースの個別分析の結果から、すべてのケースで成長につれ病状が進行し、病期の移行に伴う腎代替療法の選択と医療施設の移行に向けた選択が同時に訪れることに加え、疲労や食欲低下などの身体症状の悪化を認識することで、新たな腎代替療法の選択や適応に対して逃避的な対処行動をとっていた。しかし、選択した腎代替療法により身体感覚の改善や子どもが望む生活が叶うこと、健康な子どもと同じ生活を仲間とともに過ごせていたケースは関心をもって適切なセルフマネジメントを継続していた。また、これらの結果について小児腎臓専門医および小児専門病院看護師と慢性腎不全をもつ子どものセルフマネジメントの困難について意見交換を行い、慢性腎不全は治癒するわけではないことを子どもが理解すること、適切な療養行動を継続しても病状が悪化するなどのコントロール感がもてないこと、食事制限に対する苦痛が強くセルフマネジメントを継続していくことの意欲が低下しやすいことなどが挙げられた。これらの結果を踏まえ、看護援助指針の作成に向けた文献検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた学童・思春期患者に対する質問紙調査、面接調査は6名実施し、分析を行い、平成24年度に計画している看護援助指針の作成に生かすことができる結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
調査で得られた知見に、現在継続して関わっている対象者4名に対して平成24年5月まで調査を継続し、結果の充実と信頼性・妥当性の確保に努めるとともに、第34回日本小児腎不全学会学術集会において結果の公表を行い、論文投稿を行う。また、看護援助指針作成に際して「小児慢性腎不全患者に対するセルフマネジメントに関する先行研究」、「小児ー成人期移行期支援に関する先行研究やガイドライン」、「小児慢性腎不全患者の経験に関する先行研究」の文献検討を行い、看護援助指針の作成を行う。作成した看護援助指針については、小児腎臓専門医および小児専門病院の看護師と意見交換を行い、精錬を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献検討における図書の物品調達と、論文作成にあたる英文翻訳の謝金や消耗品の購入、結果公表に際する旅費と報告書作成のための製本費において研究費の使用を予定している。
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