研究概要 |
1.実施概要:妊娠期の規則的な有酸素運動による,妊娠アウトカムへの効果とそのメカニズムを明らかにする事を目的に,平成23年度は,有酸素運動の内容の検討及び,介入方法の文献レビュー,フィールド調整と研究プロトコールの倫理申請の準備を行った.2.実施計画:1)専門家との意見交換および文献検討から介入内容の選定, 2)文献検討による介入方法の決定, 3)研究プロトコールの倫理申請, 4)プレテストの実施3.研究成果と意義:1)妊娠期の有酸素運動の内容は,専門家のミーティングおよび文献から検討し,さらに調査フィールドの要望を考慮した結果,ヨガに決定した.理由は,ヨガは、エアロビクスなどの他の運動に比較し,副事象が少なく,安全であり,自宅でも簡便に行え,臨床経験的に妊娠中と分娩時の精神的効果や分娩アウトカムへの効果の報告があったためである. 2)介入方法の文献検討では,以下の事が明らかになった.(1)ヨガの効果は,自己肯定感,精神的健康度やリラックス度の増加や,腰痛などの不定愁訴の軽減,分娩所要時間の短縮が報告されていた.(2)1回のヨガプログラムには,自己紹介,ヨガ,呼吸法,瞑想が含まれていた.(3)介入量は,1回40-60分,1週間に最低3回,継続期間は14-16週間で有意な効果が報告されていた.(4)日本では,観察研究が殆どであり,海外においては,準実験研究がいくつか実施されており,日本人を対象にさらなる研究をする必要性が示された.3)研究プロトコールの倫理申請:上記2)を基に,倫理申請準備が整い,申請するところである.4)調査フィールドには了解を得ているため,倫理審査で承認された後にはプレテスト及び本調査を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠期の規則的な有酸素運動による,妊娠アウトカムへの効果とそのメカニズムを明らかにする事を目的に,研究を遂行した.介入内容について,当初はヨガではなく,バランスボールを計画していた.理由は,以前に共同研究者が,褥婦を対象にバランスボールを使用した運動介入の研究をしており,その経験と物品等の整備状況から,容易に行えると考えたためである.しかし,調査施設(フィールド)より,妊娠中のバランスボールは転倒の危険があると指摘を受け,介入内容の見直しをする必要性が生じた.そのため新しく運動内容を検討する必要があったため,当初の計画よりも倫理申請の提出の時期,本調査の時期も遅れてしまった.しかし,介入内容と介入方法,介入量が決定し,フィールドの了解も得ていることから,倫理の承認後に,すぐに調査を実施できる状態にある.
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今後の研究の推進方策 |
運動内容がヨガに決定した.また,文献レビューにより効果のある介入内容および,方法,介入量も明確になったため,研究プロトコールを倫理委員会に申請する事が可能になった.調査施設からは調査の了解を得られているため,倫理の承認を得て6・7月頃より調査を実施する予定である.まずは,コントロール群から調査を始め,その期間にプログラム内容の推敲と病院スタッフへのプログラム周知を行い,遅れた分の調査計画を実施する.また,コントロールの調査をする際には,日々の歩行が与える精神,身体への効果も同時に調査する予定である。その他,マーカー測定の実験設備等は,既に使用できるように整えており,いつでも測定可能な状態にスタンバイしている.
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次年度の研究費の使用計画 |
前期:本調査を実施するため,それに伴う質問紙の印刷代,生体試料のサンプリングの為の消耗品代,対象者への謝礼が必要である.後期:前期でコントロール群の調査を行い,後期で介入群の調査を行う予定である.そのためインストラクター代,自宅でヨガを実施する際のDVD購入代が発生する.また,質問紙のデータ入力代,生化学的データ分析の為の機器の購入と消耗品の購入,さらにマーカー測定の外部委託のための代金が必要である.他に,海外共同研究者から分析と結果の解釈の指導を受ける予定であり、さらに国際学会での最新情報を学ぶために,旅費等が必要になる.
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