研究課題/領域番号 |
23792640
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 恵子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40570304)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 母乳育児 / 尺度開発 |
研究概要 |
母乳育児は母子の健康に重要な役割を果たすことから、WHOは生後6ヶ月間の完全母乳育児を推進している。ところが、わが国では95%以上の母親が母乳育児を希望するにもかかわらず、1ヶ月健診時の母乳率は45%に満たない。母乳育児の継続には、助産師などの専門家や、家族・友人からの支援が関係していることが示されているものの、母乳育児中の母親が必要な支援を誰からどの程度受けているかを評価するツールはない。そこで本研究では、母親が受けている母乳育児支援の程度を測定する尺度を開発し、約500名の出産後の母親を対象として尺度の信頼性と妥当性を検証することを目的としている。母親を取り巻く人々からの支援が母乳育児継続に強く影響することが種々の研究で示されていることから、周囲からの支援の強化を目指した介入研究も多くなされるようになってきている。最近では、夫や児の祖父母からの母乳育児支援を期待して、両親学級や祖父母教室で母乳育児への理解を深めようと試みている産科施設もみられるなど、臨床分野でも注目されている。このような介入や新しい試みの効果を検証するために、母乳育児支援の程度を測定するための妥当性のある尺度が必要とされている。それにもかかわらず、このような尺度は日本のみならず海外においても開発されていない。そこで、3年間で以下を行う。1.尺度開発のための概念づくり:文献レビューを行い、母乳育児継続に作用する周囲からの支援とは何かについての概念をまとめ、学術論文として発表。2.母乳育児支援尺度の開発(予備調査):概念にもとづいて尺度項目を選定し、約50名を対象に予備調査。3.尺度の信頼性および妥当性の検証(本調査): 約500名の母乳育児中の母親に対して尺度を使用し産後1年間をフォローする。産後早期の尺度得点と母乳育児期間とを分析して予測妥当性を検証するなど、信頼性と妥当性を確認。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、尺度開発のための概念づくりを行い、概念に基づいて、尺度開発に着手する予定であった。つまり、文献レビューを行い、母乳育児継続に作用する周囲からの支援とは何かについての概念をまとめ、学術論文として発表。その後、概念にもとづいて尺度項目を選定し、約50名を対象に予備調査に取り掛かる予定であった。しかし、文献レビューの結果、想定していたよりも概念は複雑であることが判明し、測定しようとするものをより狭く規定しなおす必要があるとの結論に達した。そのため、尺度項目の選定およびその予備調査にはいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、尺度としてまとめることが可能な概念を構築するため、より限定的な文献レビューをしなおす。その上で、尺度項目の選定および予備調査を行う。その結果に基づき、25年度は尺度の尺度の信頼性および妥当性の検証(本調査)を行う。予定よりも進捗が遅れているため、スタディーサイトの数を増やし、データ収集期間を短縮約500名の母乳育児中の母親に対して尺度を使用し産後1年間をフォローする。産後早期の尺度得点と母乳育児期間との関連を分析して予測妥当性を検証するなど、種々の分析により信頼性と妥当性を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、前年度に引き続き文献レビューを続けるほか、前年度に開始する予定であったプレテストに主に研究費を使用する予定である。つまり、研究打ち合わせのための旅費、調査票および返信用封筒の印刷費、調査票の郵送費、研究参加者への謝礼、データ入力等にかかる人件費・謝金などに研究費を使用する。
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