研究課題/領域番号 |
23792641
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石田 真由美 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40361894)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 新生児 / 母子 / 愛着行動 |
研究概要 |
1.文献収集と文献レビュー:出生直後の新生児の行動に焦点をおいた研究や,分娩直後の母子の愛着行動に関する研究の文献収集をおこなった。医学・看護学分野のみならず,発達心理学や行動分析の視点からも文献レビューをおこない,新生児の行動に関する基礎的データを把握した。また,新生児の行動のみならず,母親の行動も併せて分析していく必要性があると考察できた。2.行動指標調査の実施:新生児の行動指標となり得る反応・要素を検討するために,出生直後の母子の早期接触場面の参加観察を実施した。対象母子は4組であった。母子の全体像と児の行動画像データは,2台の映像機器を用いて録画した。得られた画像データは,15秒毎に母子の行動をフィールドノート化し,母子間で起こった事象(行動や反応,発言など)の生起率を求めた。さらに,産後2日目に対象の母親と共に画像データを見ながら,当時の行動や反応について感じたことや気づいたことなどのインタビューをおこなった。インタビューデータは逐語録にし,母子に生じている現象についてコード化しカテゴリーに分け,帰納的に分析をおこなった。3.調査の分析結果および考察:画像データについては,計191の観察セッションが得られた。生起率は,母の行動では『児を見つめる』,『児の背中をトントンする・頭をなでる』などがあった。児の行動では『頭を反らせる』といった母親の方へ視線を向けようとする様子が多く見られた。その他に『ジッと開眼する』,『モゾモゾする』といった行動が見られた。インタビューデータについては,72のコード,30のサブカテゴリー,13のカテゴリーが抽出できた。これらから,出生直後の母子は五感をとぎすませ,お互いの存在を認識していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動指標調査を予定通り実施でき,調査データの画像分析や調査データの記述化に着手できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた要素を基に,本調査の開始前に今年度の分析結果を見直し,調査方法・分析方法の検討と修正を実施する必要がある。また,今年度に購入した行動コーディングシステムを用いて画像分析をすすめ,母子間の相互コミュニケーション手法の開発のための指標を得る必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
本調査の実施にあたり,研究データの収集や記述化のための研究補助者や専門的知識の提供者に対する謝金が発生する。また,数量化したデータの分析のために,SPSS解析ソフトを新規購入する必要がある。さらに,新たな知見を得,情報収集するための学会参加費用および旅費の使用が見込まれる。
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