研究課題/領域番号 |
23792642
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
丸山 和美 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50377488)
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キーワード | ボディイメージ / 身体満足度 / 妊娠 / 体重増加 |
研究概要 |
本研究では、妊娠に特異的な身体的・心理的変化が、形成されたボディイメージとの間に葛藤を生じるか否かを明らかにすることを目的とした。正常な経過をたどる妊婦98名を対象とし、妊娠初期、中期、末期、産後1ヵ月にわたり継続調査した。妊娠初期、中期、末期、産後1ヵ月の4期間、1.体型・容姿満足度、2. 身体に関する満足度を5段階で問う Body Cathexis Scale(以下BC)、3. 痩せから肥満の8段階の体型のシルエットの評価を問うシルエットチャートを用い調査した。 シルエットチャートの評価では、理想体型や産後に戻したい体型にはやや痩せ型、親が望む体型や健康的だと思う体型には標準型のシルエットを選択し、妊娠初期から産後1ヵ月までの4期間で評価は大きく変化しなかった。体型・容姿満足度は、妊娠初期から妊娠末期にかけて不満足の割合が多くなり、産後は更にその割合が増加した。BCでは、妊娠末期には生理的因子や体重の満足度が低く、産後1ヵ月では体型的因子の満足度が低くなっており、満足度の意識が出産を境に変化した。妊娠初期では非妊時BMI痩せ群と比較して普通群・肥満群が、妊娠末期・産後1ヵ月では、現在のBMIと産後に戻したいBMIとの差が大きいほど、体型・容姿を不満足としていた。 産後うつの因子として、初産婦であること、体型を不満足と感じていることが挙げられた。また、うつ群では非うつ群よりもウエスト、体格、運動、睡眠に対する満足度が有意に低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画したデータ収集は終了した。結果は、妊娠中の結果と産後の結果に分けて論文投稿する予定である。今年度は妊娠中の身体的・心理的変化によってボディイメージとの間に葛藤を生じること、その葛藤は自己のボディイメージとの乖離が大きいほど強くなったという点についてまとめ、現在国内学会誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
「ボディイメージと産後うつ」という産後の結果に焦点を当て再度分析を行う。本研究は縦断研究であるため、産後1か月のボディイメージと産後うつという横断的な関連に加え、妊娠中からのボディイメージ(体型認識)が産後うつを予測しうるか(関連があるのか)という視点からも分析し、妊娠中の体型認識と産後うつとの関連を明らかにしたいと考える。その結果を学会誌に投稿する予定である。 また、産後のデータが1か月までであるため、その後のデータ収集を追加したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は追加のデータ収集を実施できなかった。未使用金に関しては、データ収集やデータ入力に関する人件費に使用する予定である。また、関連する学会に参加し最新の情報について収集を行うため旅費が必要である。また、結果を投稿するための費用が必要となる。
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