研究課題/領域番号 |
23792647
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
木村 真司 島根大学, 医学部, 助教 (10595672)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 小児肥満 / 小児看護学 |
研究概要 |
【目的】肥満の発症には、摂食エネルギー過多だけでなく、座りがちな生活習慣の形成による消費エネルギー低下も関与している。そこで今回、小児の運動への関心の特徴を明らかにするために、イラスト選択法により運動への興味を評価し、食行動の指標・肥満発症との関連について検討した。【方法】運動への関心をイラスト選択法により評価した。イラスト選択法では、小児の身辺の対象物36種(スポーツなどの運動に関連するもの10個、食品10個、その他16個)のイラストから対象児に任意の10個を選択させ、その中に含まれる運動のイラスト数を「運動選択スコア」とした。調査は食前に実施した。運動選択スコアの平均値で上位群と下位群の2群に分け、食行動・肥満度を比較した。食行動評価は、成人用「食行動質問表」の中から小児に適した21項目を選出し、平易な文章からなる質問表を作成して対象者に回答させた(幼児では保護者が回答)。回答を因子分析し4種の食行動因子を抽出した。肥満度は、身長・体重の測定値と性別年齢別標準体重値より算出した。【結果】運動選択スコアの下位群では上位群に比較して、4種の食行動因子スコアがそれぞれ有意に高値であった(p<0.05)。肥満度+30%以上の群は、肥満度+30%未満の群に比較して、運動選択スコア が有意に低値であった(1.63±1.19、2.89±1.75、p<0.05)。小学校高学年(10~12歳)群では、幼児、小学校低学年、小学校中学年の群と比較して運動選択スコアが有意に低値を示した(p<0.01)。【考察】小児の運動への関心が、食行動の特徴・肥満発症・年齢と関連していることが明らかになった。本研究で用いたイラスト選択法は、運動への関心の度合いを測る有効な方法と考えられ、より簡便なスクリーニング法として広く利用できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
評価方法として作成しているイラスト選択法について、小児の身辺の対象物36個(食品10個、スポーツなどの運動に関連するもの10個、その他16個)のイラストの選別、イラストの作成、それからチェックシートの作成と修正、妥当性のためのプレテストに時間がかかったため、達成度がやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
以下の実施方法に従い、調査を実施し分析を行う。1)実施方法 イラスト選択法は、学校にて施行する。1人の対象児にそれぞれ食前30分前以内と食後30分以内の2回、チェックシートにマークさせ、食前(空腹時)・食後(満腹時)での「食品選択スコア」の差を比較する。質問紙法は、「イラスト選択法」が食前・後ともすべて終了したあとに実施する。また、肥満の判定については、身長・体重測定値と、村田式係数による性別年齢別身長別標準体重から肥満度を算出する。2)評価方法 イラスト選択法による食行動評価と質問紙法について、各スコアの各年齢群、男女別に、平均と標準偏差を求め、食事への関心度と食行動スコアの特徴と、身長と体重から求めた肥満度との関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
評価方法として作成しているイラスト選択法について、小児の身辺の対象物36個(食品10個、スポーツなどの運動に関連するもの10個、その他16個)のイラストの選別、イラストの作成、それからチェックシートの作成と修正、妥当性のためのプレテストに時間がかかったため、アンケートの印刷、集計処理などがおこなえていない。 そのため、平成23年度の残額をアンケート用紙の印刷、アンケート集計の人件費として平成24年度に使用していく。平成24年度の研究費は、当初の予定通り学会参加旅費や研究成果投稿料として使用する。
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