今後の外国人女性と家族への周産期におけるケアシステムのあり方を提言していくことを目的に研究を行った。 平成23年度は、A県内における外国人妊産婦の看護に関する状況特性を把握した。外国人妊産婦や家族への看護ケア内容の課題とともに、助産師においては個々に経験した知見を頼りに看護を提供しており、組織的な知の伝承がなされにくい状況にあることが把握できた。現在行われている看護現場の課題を、多くの助産師とともに意識的に検討していく必要性が示唆された。 平成24年度は、助産師とともにアクションリサーチ法の取り組みを本格化した。所属施設における外国人妊産婦へのケアとして課題となっている事柄と優先して改善すべき事項をグループインタビューにて把握した。①外国人妊産婦とその家族の受けた看護に対する評価の把握、②病棟内の表示や活用している資料、対応時の会話など言語に関する課題への対応、の2点に焦点化したアクションリサーチに、選定したコアメンバーとともに取り組んだ。 平成25年度は、①については外国人女性とその家族を対象に受けた看護ケアの実際とその評価に関する面接調査を実施した。提供した看護ケアに対しては概ね評価は良好であるものの、英表記媒体の必要性や人材の確保、医師など他職種との連携のあり方など具体的な改善点を把握した。②については、コアメンバーが主体的に病棟内の表示を英語の併記とすること、退院指導時等に使用している資料の英訳、出産のための入院時に行う電話対応文例の検討、タブレットを使用しての訪室など、病棟内の他の助産師をまきこんでの具体的な取り組みがなされた。 以上のことから、助産師個々がより外国人妊産婦への看護ケアに関心を持ち、その質的向上を意識したかかわりを具体的に考えるという行動変容につなげることができた。得られた成果は、コアメンバーとともに関連学会での公表を予定している。
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