研究概要 |
本研究は,小児科外来看護師への具体的な教育支援方法を構築することを目指し,外来看護師が慢性疾患をもつ子どもの家族に行っているケアの実態と認識,家族に関わる際に難しいと感じる内容とその時の対処方法,家族に関わる際に必要だと感じる知識や技術等の教育支援ニーズを明らかにすることを目的とするものである.本年度は,平成23年度に実施した面接調査をもとに,小児科外来看護師に対する質問紙調査を行った. 全国の地域医療支援病院270施設で勤務する810名の小児科外来看護師を対象に,自記式質問紙調査を行った.看護師257名から回答が得られ,有効回答数は243名(30%)であった.対象者の看護師経験年数は,10年以上が最も多く,小児科外来経験年数は,1年以上3年未満のものが多かった.慢性疾患をもつ子どもの家族のケアについては,『子どもに話しかける』,『子どもにねぎらいや励ましの言葉をかける』ことを主に行っており,『現在の子どもの状態について確認する』,『子どもの疾患・病態を把握する』ことが重要だと認識していた.家族とのかかわりの難しさの理由として,『急性期疾患の患者対応に追われる』,『外来看護師の人数が不足している』,『処置や検査が多い』ことなどがあげられ,子どもの家族と関わる際には,『疾患や病態に関する知識』,『発達や特徴に関する知識』,『社会資源や福祉サービスに関する知識』などを必要としていた.小児科外来看護に関する学習の機会は,『書籍等で自己学習』,『子どもや家族との実際の関わりから』が多く,看護師は,『院外の研修会』,『学術集会等での講演やシンポジウム』などの学習の機会も必要としていた.本調査により,多忙な業務による家族との関わりの難しさや,小児科外来看護に関する教育の機会が少ない現状がわかり,院内外の研修や講演会などを活用し,看護師が必要と感じる知識の提供を行う必要性が示唆された.
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