研究概要 |
本研究は,新生児GBS感染症予防のために,どのような新生児が新生児GBS感染症を発症しているのか発症要因等を明らかにすること(第一研究),新生児敗血症髄膜炎発症GBS株と非発症GBS株の異同を明らかにすること(第二研究)を目的としている. 第一研究では最終的に早発型GBS感染症確定例11例,早発型GBS感染症疑い例15例を収集できた.早発型GBS感染症の発症率は0.19(出生千対)で,平均在胎週数38週6日,平均出生体重3,045g,Apgar score 1分値の中央値9点,危険因子を有していた症例は,早産(33週)1例のみであった.早発型GBS感染症確定例11例のうち10例はGBSスクリーニングを実施されていたにも関わらず発症しており,偽陰性の対応が今後の検討課題と考えられた.新生児GBS感染症発症児とその母(症例)1例につき,新生児GBS感染症を発症しなかった児とその母(対照)3例を選定し,対照例の情報収集を行った.最終的に,症例(確定例と疑い例)26例に対して,対照例78例の情報収集を完了し,新生児GBS感染症発症の発症要因を検討した. 第二研究では,児血液4株,児髄液2株,児髄液由来の母の腟由来1株,その他2株,合計9株の母児臨床分離株の収集が出来た.今年度の成果として,児の血液や髄液由来株および児髄液由来株と母腟由来株がセットで収集できたことは意義が大きい.最終的に,児と妊婦褥婦腟由来GBSの薬剤感受性と型別の年次推移を比較したところ(児血液髄液10株,児咽頭等55株,妊婦褥婦腟保菌194株),薬剤感受性試験ではpenicillin系抗菌薬に耐性を示した株はなかった.型別では,児咽頭等由来の非発症株においてIII型が増加し今後の動向に注意を要すると考えられた.
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