研究課題/領域番号 |
23792660
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
前田 貴彦 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (60345981)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小児医療 / 特定看護師 |
研究概要 |
現在、特定看護師(仮称)の本格的な導入に向けて具体的な検討が進められており、今後様々な領域への導入が予想される。その一方、我が国の小児医療の衰退は国民的課題となる重要な社会的問題の一つである。この様な状況にある小児医療領域への特定看護師導入は、小児科医師の過重労働を軽減するためだけでなく、患児や家族の利便性が高まることに繋がると考える。よって、本研究では小児医療領域への特定看護師の効果的な導入を図るために、現時点で導入に対する医療者や家族の期待とその課題を明らかにすることを目的とした。現時点での研究成果は以下の通りである。 本年度は、小児医療領域への特定看護師導入に対する医療職者の認識を明らかにするために全国の小児科を標榜する病院で小児医療に従事する小児科医師ならびに小児看護に従事する看護師を対象に調査を行った。小児科医師は、特定看護師導入について約80%が賛成し、〔医師の負担軽減〕〔医療の質の向上〕といった期待を持っていた。また、現行の医行為の実施者に対する認識では、薬剤の選択・使用量の変更等は、医師が適任者と考えていることが示唆されたが、日常の生活管理に関する医行為については、50%以上が特定看護師でも可能であると考えていることが示唆された。しかし、導入に対し問題や課題があると認識している者も70%以上であり、〔医行為を行った際の責任の所在〕や〔教育体制〕といった様々な課題が挙げられた。 よって、これらの課題を解決し、教育体制の整備・充実を図ることで、はじめて効果的な特定看護師の導入が可能となるのではないかと考える。 なお、看護師対象の調査は継続中であるが、特定看護師導入に関しては、肯定・否定の両者の意見が見られている。また、実施者に対する認識として、医師同様薬剤に関しては医師が適任者と考えている傾向が見られる。今後、引き続き調査・分析を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児科医師対象の調査は、現時点で概ね終了し当初の計画を達成できたと評価する。 しかし、看護師対象の調査は、調査依頼時期が年度末となり看護師の移動の時期とも重なったためか、協力施設ならびに回答者が当初計画より若干少なく引き続き調査を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度計画の看護師対象の調査については、回答者数を増すために今年度も引き続き継続していく。 同時に今年度予定している保護者への調査では、入院経験のない保護者も対象として計画しているが、予備調査などで現行の医行為や特定看護師に関する理解や認識が十分なく効果的な回答が得られない判断した際は、入院経験のある対象者への質問紙調査のみとする場合や面接調査に変更する能性もある。また、入院中や入院経験のある保護者に対する調査も個人情報保護の視点から年々難しくなっており、当初予定より対象者が減少する可能性もある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、小児児医療領域への特定看護師導入に対する保護者の認識を明らかにすることも目的に調査を行う。また、平成23年度計画の一つである、小児看護に従事する看護師を対象とした調査を引き続き実施する。-保護者に対する質問紙調査の方法-対象:主に東海地方に在住し小児科対象年齢である0~15歳の子どもをもつ保護者(子どもが入院経験のある保護者および乳児から中学生までの子どもをもつ保護者)約500名調査項目:対象者の背景、導入の必要性の有無とその理由、導入にあたっての課題の有無とその内容、特定看護師が実施可能または期待する医療行為 など調査手順:東海地方で小児科を有する医療施設および東海地方の保育園、幼稚園、小学校、中学校の各施設長に研究依頼を行い協力の得られた施設の保護者に回答を依頼する。分析方法:各項目の記述統計や項目間の検定を行う。また、全年度の医師、看護師の調査と比較を行う。24年度の研究費使用計画としては、保護者を対象とした質問紙調査ならびに看護師を対象とした質問紙調査のために必要となる、質問紙印刷費、全国病院データベース資料、通信費、消耗品購入のために使用する予定である。また、23年計画で実施した研究成果発表や情報収集のため学会等への出席にあたり必要となる参加費、旅費として使用する予定である。
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