本研究では、父親・母親が「医療的ケアの必要な子どもの親になる」プロセスと、そのプロセスを辿る上での父親・母親の相互関係性、父親・母親を取り巻く影響要因を明らかにし、「医療的ケアの必要な子どもの親になる」プロセスを支援する看護介入を開発することを目的としている。今年度は、父親・母親が「医療的ケアの必要な子どもの親になる」プロセスと、そのプロセスを辿る上での父親・母親の相互関係性、父親・母親を取り巻く影響要因を明らかにするために、1.研究対象者へのデータ収集に向けて、協力施設・団体へのアクセスや、情報収集を行った。2.研究協力団体より紹介していただき、対象者へのインタビューを実施した。 最終年度は、北海道、関東、東海、関西、四国、中国地方、九州の母親6名、父親7名の計13名へのインタビューを実施し、分析を行った。 その結果、医療的ケアの必要な子どもの母親が母親になるプロセスとして、【子どもが病気という現実に困惑する】【やるせない思いを持ち続けながらも母親になることを引き受ける】【戸惑う現実の中で強く生きる我が子を育てる覚悟をする】【我が子の病気や障がいを思い知らされながら理解者に支えられ育む】【障がいと闘う我が子と社会に挑む】【障がいに屈しない我が子のために周囲と共に前に進む】などのカテゴリーが抽出された。 また、医療的ケアの必要な子どもの父親が父親になるプロセスとして、【弱い妻を気にしながら予期せぬ現実に怯む】【子どもの生を実感し再起する】【混迷の中で弱い妻を気遣い悩む】【弱い妻を気遣いながら我が子に期待し立ち直る】【妻を信頼し我が子らしく育つ環境を整える】【障がいに反応する社会の中を我が子の力で進めるよう見守る】などのカテゴリーが抽出された。 今後、学会などで発表していく予定である。
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