本研究では「東アジアにおける子どもを喪失した夫婦の悲嘆過程とケアの実際、夫婦の望むケアニーズを明らかにする」ことを目的として、平成23年度より計画し、実行した。 平成23年度は①中国人、韓国人の子どもを喪失した夫婦の死別ケア研究、②中国、韓国の医療・死別ケアの状況、③中国、韓国の看護や助産教育の内容と現状を文献研究によって調査した。その結果、中国、韓国ではほとんど死別ケアが行われていないことが明らかになった。またグリーフケアの先進国の一つであるアメリカでのグリーフケアプログラムに参加し、欧米諸国で実施されている内容をアジアでも導入できないか検討した。 平成24年度は前年度の研究結果を基に、中国、韓国へ渡航し、子どもを喪失した夫婦へ面接を行う予定であったが、社会的事情(尖閣諸島・竹島問題)によって実行することができなかった。平成25年度は前年度実施することができなかった面接を実施する予定であったが、社会的事情の影響が続いており、両国でのコーディネーターを探索することができず、渡航することがかなわなかった。 平成26年度は、平成24、25年度に実施できなかった渡航しての面接を実施する予定であったが研究者自身が体調を崩してしまい(入院)、研究成果を出すことができないままに終了してしまった。 平成26年度までに実施することはできなかったが中国ではコーディネーターが見つかり、またタイとブータンにて研究に興味を持ってくださる方から連絡をいただいたため、今後東アジアだけに目を向けるのではなくアジア全体を俯瞰した死別ケア研究を実施したいと考えている。
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