本研究の目的は、在宅生活する障害児家族のサービス利用とその関連要因を明らかにし、障害児家族に向けたユーザーフレンドリーなサービス利用体制のあり方を提言することである。 最終年度である今年度は、一県内の障害児の親の会等を通じて、主たる育児・ケアを担う保護者に対する無記名自記式質問紙調査を実施した。171人の障害児家族を研究対象として分析した結果、サービス利用している障害児家族は49.7%であった。在宅障害児家族のサービス利用の有無に関連する要因については、サービスを利用していない家族は、サービスを利用している家族と比較して、「子どもの日常生活動作の自立度が高い」、「子どもの医療・福祉サービスに関する情報がない」、「子どもの病気・障害を相談できる場所がない」ことが明らかになった。またサービスを利用していない家族はサービスを利用している家族に比べて、精神的健康度が低いことが明らかになった。また、全体の23.3%の障害児家族は、タイムリーにサービスにアクセスできなかった経験をしていた。さらに、サービスを利用している家族への「利用しているサービスは使いやすいと思うか」に対しては、24.0%の家族は利用しているサービスが使いにくいと回答した。また、サービスを利用していない家族のサービス未利用の理由としては「現在のところ、サービスを使う必要がない」に次いで「サービスを利用したいが、サービスに関する情報が得られにくい」ことが明らかになった。 これらの結果から、在宅生活する障害児家族に対するサービス提供のあり方として、障害児家族が必要とする時に、子どもの医療・福祉サービスに関する情報が得られる情報提供体制の構築、子どもの病気や障害について相談できる場所の整備、タイムリーにサービスにアクセスできるサービス利用システムを構築する必要性が示唆された。
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