研究課題/領域番号 |
23792670
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
西岡 笑子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (70550797)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 妊娠 / 分娩 / 微量元素 / 新生児 |
研究概要 |
【背景・目的】鉛をはじめとする母体の有害微量元素の低濃度曝露による胎児への急性・慢性毒性影響が懸念されている。しかし、本邦の妊婦において微量元素の低濃度曝露が妊娠、分娩を含めた母体および新生児に及ぼす影響に関する報告はほとんどない。本研究では、妊娠後期の母体血中微量元素濃度と分娩アウトカムとの関係を検討することを目的とした。【方法】病院産科外来を受診した妊娠36週の妊婦に対し、調査概要を口頭および書面を用いて説明し書面による同意を得た。対象者には、基本属性および生活習慣に関する自記式質問紙調査を行うとともに、妊娠36週の母体血、分娩時の臍帯血、産後3日目の母体血の採取を行った。微量元素の測定は、酸分解ののち誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)により行った。本研究は、順天堂大学医学部附属順天堂医院病院倫理委員会の承認後に実施した。【結果】回収された質問紙は124部( 回収率 98.4 % )であった。今回は妊娠36週の母体血、分娩時の臍帯血、産後3日目の母体血の微量元素測定がすべて終了した25名を対象とし解析を行った。対象者の平均年齢は32.5 ± 4.0歳、平均在胎週数は38.9 ± 1.4週、出生した児の平均出生体重は3034 ± 352.9g、性別は男児15名、女児10名であった。前期破水の者はそれ以外の者と比較し妊娠36週の鉛濃度が有意に高かった(t 検定, p < 0.05 )。今回の対象者の中に妊娠合併症を発症した者はいなかった。【考察】前期破水と血中鉛濃度との関係はこれまでの海外における先行研究の結果と整合するものであった。今回の対象者は全例が正常妊産婦であったことから、妊娠合併症との関連を検討することはできなかった。今後は対象者数を拡大し、基本属性、生活習慣、微量元素濃度動態と分娩アウトカムとの関連を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、対象者の妊娠初期から産後1か月まで約10か月間にわたる縦断調査であるが、初年度(全2年度計画)の段階で、すでに予定対象者の60%である300名の妊娠初期の女性をリクルートした。既に分娩を終えた対象者は約130名であり、収集した検体、調査票については随時分析を行っている。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後200名の妊娠初期の女性に対しリクルートを行い、合計500名の縦断調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査を遂行するうえで必要な人件費、学会発表のための渡航費用、論文発表のための英文校正費用である。
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