研究課題/領域番号 |
23792671
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
植竹 貴子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (20438617)
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キーワード | 補完代替療法 / 妊娠・分娩・産褥期 |
研究概要 |
本研究目的は、我が国における妊娠・分娩・産褥期に用いられる補完代替療法(以下CAM)の現状を把握し、周産期の女性がより安全に安心してCAMを利用するための具体的な指針を示すことである。今年度は主に文献検討やインタビューを行い、調査票を作成することを計画とした。 調査票の項目を抽出するために、諸外国や本邦における先行研究を検討した。本邦における過去10年間の妊娠・分娩・産褥期に関するCAMの先行研究(原著論文)は、アロマセラピー(65)、サプリメント(27)、運動療法(20)、マッサージ(13)、心身療法(13)、指圧(8)、針灸(8)、リフレクソロジー(4)、漢方(3)、ホメオパシー(1)であり、主な内容としては、妊娠期ではマイナートラブルやサプリメントの使用、分娩期では産痛緩和や分娩促進、産褥期では、リラクセーション、不安軽減、睡眠、疲労軽減、ストレス緩和であった。*( )は文献数。 米国における調査(Barnes.M.P, 2007)(Richard L.N, 2002 )では、成人が過去12ヶ月間に使用したCAMの種類は37種類に及び、用いられた症状は、背部痛、首の痛み、関節痛、不安、頭痛、睡眠障害、胃腸の病気など多岐に亘った。イタリアにおける調査(Francesco.L, 2008)では、48%の妊婦が妊娠線の予防や、風邪症状、消化器症状、精神症状などに代替薬を使用していた。以上の調査に加え、本邦におけるがん患者に用いられるCAMの調査(兵頭,2005)、NCCAM、今西(2009)、コクラン共同研究におけるCAMの分類などから、対象者の背景因子、CAM関する知識・認知状況、CAMの種類や分類・定義、CAMを用いた症状などの項目を抽出し、質問紙の素案を作成した。以上より、次年度実施する本調査に向けての準備が整ったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、主に文献検討、インタビュー、パイロットスタディーを行い、調査票を作成することを計画とした。 現時点では、文献検討、インタビューを行い、調査票の素案作成まで至った。今後はパイロットスタディーを行い、大規模調査の実行可能性を検討する段階である。 パイロットスタディーが次年度に変更となったが、Web調査法の導入(今後の研究の推進方策を参照)により時間的余裕ができたため、概ね順調に計画は進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
計画立案時は、全国の医療機関を無作為に抽出し、郵送法にて調査票の配布・回収を行う予定であった。しかし、規模の大きい研究協力施設では、研究倫理審査を通過する必要があり、調査票配布までに時間を要することや、郵送法は回収に時間・コストがかかり、回収率が20%程度と低いため、より確実に、スピーディーに、低コストで調査を実施できる方法を検討した。その結果、調査依頼から回収までに要する時間が短く、回収を確実に行うことができ、コストも郵送法と大差ないことから、Web調査法を取り入れることとした。 今年度は、パイロットスタディーの実施、本調査の実施、データ解析、啓蒙・普及活動を行う。 まず、パイロットスタディーでは、暫定的な分析から、質問項目(変数)の最終確認ならびに大規模調査の実行可能性を検討する。 次に、本調査はWeb調査法にて行う。調査票の配布、回収はWeb調査会社に委託する(配布・回収は1~2週間程度で行うことができる)。 データ解析は統計ソフトSPSSを用い、基礎統計・因子分析などを行う。Web調査の場合、データは自動的に集計されるため、入力やデータのクリーニングは不要となった。 啓蒙・普及活動では、調査結果に基づき、専門家、研究者などの意見を聴取し、妊娠・分娩・産褥期の女性が安心し、安全にCAMを使用できるように具体策を検討する。また、本研究結果より得られた知見を関連学会等に発表することを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に関して、郵送法からWeb調査法に変更したことに伴い、調査票の印刷や郵送が不要になった。また、情報収集のため参加した学会が近郊で開催されたことやセミナーに参加できなかったことから、旅費が予定より低額となった。データ解析ソフトを今年度購入予定であったが、データ解析は次年度行うため、購入を次年度に伸ばした。 次年度は、今年度不要となった印刷費や郵送費をWeb調査の実施に充てる。また、情報収集のため、学会やセミナーに積極的に参加する。データ解析に必要な統計ソフトを購入する予定である。
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