研究課題/領域番号 |
23792672
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
五十嵐 ゆかり 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (30363849)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 外国人 / 周産期 / 看護者 / ケア / 教育プログラム |
研究概要 |
看護者向けの教育プログラムの開発のために、本年度は主に国内外における調査を行った。日本における調査では、複数の病院施設から外国人女性をケアした経験のある看護師、助産師と、これまでの経験を基盤として外国人ケアにおける改善点や実施可能なケアについて会議を重ねた。その中で、外国人ケアを行うにあたって、学ぶ必要があると感じた内容や知識として必要と感じた事柄なども議論した。また、在住外国人を支援することを主な活動としている民間団体からは、他職種(社会福祉士、通訳者、など)のスタッフから特に病院受診時に感じた困難感や医療従事者に改善してほしいこと、また外国人女性が実際に訴えていたことなどの聞き取りを行った。海外調査においては、先駆的に移民を受け入れているオーストラリアにおいて、移民・難民女性を30年以上支援している民間団体を訪問し、支援者向けの教育プログラムに実際に参加したとともに、プログラム開発者と会議を重ねた。さらに教育プログラムの参加者からは、参加動機やプログラムへの感想の聞き取りを行った。また主催者からは、プログラム提供までの準備やプログラムをコーディネートするときの留意点などのレクチャーを受けた。移民や難民をケアする看護者(refugee health nurse)に会い、アセスメントの視点やケアの注意点などを学ぶとともに移民・難民看護師の育成について意見交換を行った。以上から、今年度の成果は、国内の状況を把握した上で、先駆的に支援者を育成している場から、日本における看護者教育プログラム作成の基盤となる情報収集を行うことができた。来年度は日本向けのパイロット版のプログラムを作成し、小集団へ提供し評価を得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、現地との調整がうまくいかず海外調査の訪問先が1カ国のみとなってしまった。そのためプログラムを開発するための情報収集が十分ではなかったため、パイロット版のプログラム作成にまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は情報収集に留まってしまったため、平成24年度はパイロット版のプログラムの作成から行う。本研究の第3段階として、平成24年4月~7月にパイロット版のプログラムを作成し内容の検討を行う。第4段階は、8月~9月に小集団を対象としたパイロットテストを行い、10月~11月にデータ分析を行う。第5段階では、本研究の平成23年度に予定していた海外調査が行えなかったため、11月~平成25年1月にヨーロッパへの施設見学を行うと共に海外の学会に参加し、試作プログラムに対して専門家から意見を仰ぐ。まとめの第6段階の平成25年2月~3月は、パイロットテストの結果と海外調査と意見をもとに、教育プログラムの試作を完成させ、2年間のまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、パソコンやプリンターを購入し、データ保存やプログラムの作成に使用する。消耗品費は、プログラム評価のためクラスの様子を記録するためのビデオカメラや電子媒体などに使用する。今年度は、現地調査の日程調整がうまくいかなかったため、海外調査に関連する残金が生じた。次年度は、ヨーロッパで移民・難民を支援している団体や異文化看護を取り入れている病院の視察の旅費として使用することとする。さらにパイロット版プログラムの成果を海外の学会で発表するための旅費として使用する。次年度は、施設の視察を可能にするため、複数の施設と連絡調整を行い、早期に視察計画を立案する。謝金は、主にプログラムで患者役となる協力者やプログラムの被験者に使用する。またヨーロッパでの施設見学において、通訳が必要な際は現地通訳への謝礼とする。その他、研究成果を公開するためのHP作成や編集のために使用する。以上の内容で、研究費を使用する予定である。
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