研究課題/領域番号 |
23792681
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
竹原 健二 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (50531571)
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キーワード | 立ち会い出産 / 産後うつ / 縦断研究 |
研究概要 |
当初の計画では妊産婦のパートナーのみを対象にした疫学調査を実施する方向で準備を進めてきたが、より質の高い結果を得るためには、夫婦を対象にした調査が望ましいことが明らかになった。そこで、今年度、妊産婦のメンタルヘルスについて縦断的な調査を実施する研究グループと共同研究を実施する方向で計画を立て直し、愛知県西尾市をフィールドとする縦断研究を実施することになった。産前・産後のパートナーを対象とした研究としては、わが国で極めて稀なpopulation-basedの縦断調査が始まっている。この研究デザインは、実施計画における「産前・産後の男性における“うつ”と判定される者の有病割合を算出する」という目的において、もっとも適した方法の一つである。 今年度は研究計画の修正をするとともに、愛知県西尾市から、本研究への全面的な協力をとりつけた。研究計画について、2012年秋に所属先の研究倫理委員会の承認を得て、同12月よりデータ収集を開始している。3月末の時点で204組の夫婦から同意が得られている。産前・産後のパートナーを対象とした研究では、回収率が30%を下回っていることを考えると、順調に対象者のリクルートが進んでいると言える。また、当初の計画では、出産直後をベースラインとし、産後に2度のフォローアップをする、という予定であった。しかし、修正後の計画では、妊娠中期をベースラインとし、産後5回にわたり、フォローアップすることとしており、より緻密かつ豊富なデータが得られる計画に進化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は妊産婦のパートナーが対象という、前例が極めて少ない研究課題であったため、平成23年度から聞き取り調査や文献調査、専門家・関係者との意見交換を綿密におこなった。それにより、妊産婦のパートナーの精神的な健康状態には、妊産婦の心身の健康状態が与える影響が大きく、研究結果に看過できないバイアスが生じることが明らかになった。そこで、研究の対象者に妊産婦も含めて、妊娠中の女性とそのパートナーを対象とした調査へと計画を修正をする必要があると判断した。そのため、当初の計画を大幅に見直したため、本研究の事業期間の延長を申請し、認められた。
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今後の研究の推進方策 |
できるだけ質の高いデータを収集するために、実施中の縦断研究のスーパーバイズと成果の報告に尽力する。追跡調査時の対象者の脱落率を低減させるために、西尾市のみならず、近隣の分娩施設に、本研究の対象者に対して調査への協力依頼の声掛けをしていただくなど、できるだけの配慮をしているところである。 データ収集は妊娠中期、産後数日、2週、1か月、2か月、3か月の計6回を実施し、原則として、研究事務局からの郵送法により調査を進める。ただし、産後数日、2週、1か月の3回に関しては、上記の通り、分娩施設の協力も得て、質問票の回収を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後は、現在、対象者のリクルートやデータ収集が進んでいる調査において、データ収集時の質問票の送付および対象者への謝品、調査フィールドへの旅費、成果の報告に用いる。
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