1.母親に対する追加インタビュー 前年度に収集したデータをもとにグランデッドセオリーを用いて分析し、子育て世代における「地域とつながる力」の概念開発を行った。平成26年度は、理論の飽和へ向けてさらに4施設に調査依頼をして、9名の母親に協力を得てインタビューデータを追加した。また、開発した理論の真実性確保の方策の一つとして、母親5名に参加者チェックとして、再インタビューを行い、開発した理論の検証を行った。 2.子育て世代における「地域とつながる力」の概念の概要 子育て世代における「地域とつながる力」の概念は、つながりの構造、つながりの機能、つながりたいと思う動機、つながるための社会的能力の4側面から構成された。構造的側面とは、誰と、どこで、どのようにつながっているのか、その頻度、強度、心理的距離である。機能的側面とは、母親が地域とのつながりから得ているソーシャルサポートの意義である。動機とは、他者との交流に対する母親の期待や他者との交流による子どもの成長への期待などであった。社会的能力は、出会いへの準備性や接近と逃避に関する能力、トラブル回避能力などが構成要素として説明された。 3.研究成果の公表 研究成果は、結果の内容によって再整理して国際学会に2本、国内学会で1本発表し、また英文誌に1本掲載された。その他の成果についても英文誌に投稿準備中である。調査に協力してくださった施設に対しては、1施設においてはすでに結果説明会を実施した。他の協力機関に対しても適切な媒体を用いて研究成果の還元を行っていきたいと考えている。
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