研究概要 |
本研究の目的は,在宅療養支援における適切な個人情報管理について,在宅療養支援に関わる職員各々が連携を阻害せず実状に見合った具体的な対策が実施できるよう,「在宅療養支援における個人情報管理自己評価尺度(仮称)」を開発することである。平成23年度は,これまで調査したデータや先行研究をもとに尺度の構成要素を統計的分析によって検討した。さらに専門職および有識者から助言を得て内容の吟味に当たった。その結果,現段階では所属組織における管理的要素が含まれる「管理項目」21項目,職員個々の情報管理行動として「行動項目」18項目が設定された。そして,この結果をもとにさらに項目の表現,質問紙の精選を行った。また平成23年度中に全国調査を実施する予定であったが,平成23年3月に起こった東日本大震災の影響により実施までには至らなかった。平成24年度は,有識者と尺度項目の内容の検討を行い,質問紙の作成,全国調査を実施した。全国調査は,WAMNET (独立行政法人福祉医療機構)に登録されている全国の病院のうち,平成24年9月現在,病床数200床以上の病院2,626件に対し,無記名自記式質問紙を平成25年2月末に郵送した。調査期間は平成25年3月1日~22日とした。回答者は各病院の退院支援実務にあたっている職員2名とし,返信は回答者個々に行ってもらった。その結果,1358件の回収があった。そのうち,96件は退院支援部門の設置なし,50件は回答不備のため分析対象から除外した。従って有効回答は1,121件,有効回答率は21.3%であった。現在データ集計中であり,今後単純集計ののち確認的因子分析および独立変数との関連の分析を行う予定である。
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