研究課題/領域番号 |
23792686
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
丸山 幸恵 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (50550696)
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キーワード | 訪問看護実践能力 / 在宅ケア / 人材育成 |
研究概要 |
訪問看護師は、質の高い看護実践能力が必要とされており、在宅療養者が安心できる療養環境を提供する訪問看護師の育成は急務である。そこで、成果を生み出す行動特性であるコンピテンシーに着目し、看護能力の高い訪問看護師の訪問看護実践能力の構成要素を明らかにする目的で、研究に同意の得られた訪問看護師14名を対象とした半構成的インタビューを実施した。対象者の概要は、30歳代5名、40歳代5名、50歳代4名であり、平均病棟経験年数は6.5±4.1年、平均訪問看護経験年数は8.2±3.6年であった。 訪問看護師のケア行為から、“利用者・家族の希望する生活が可能であるかアセスメントする”などの「利用者・家族のその人らしい生活維持に向けたアセスメント」、“介護者の介護方法を容認し、負担にならないように段階的に具体的な介護方法を伝える”などの「自立した介護生活の獲得に向けた助言」、“利用者の生活や健康状態に合わせて処置の内容や方法を変更する”などの「利用者のQOLを考慮した生活ケア」、“家族主体の介護に重きを置き、利用者の健康状態に問題がなければ家族の価値観に合わせた方法でケアする”などの「利用者・家族の生活スタイルに合わせた支援の模索」、“利用者の以降に可能な限り沿えるように、家族に意思決定を促す”などの「中立的立場における意思決定を促す支援」を実践していた。また、利用者・家族との信頼関係構築のために「良好な関係性構築に向けた相手に合わせた振る舞いの使い分け」「関係性維持に向けた相手に対する気遣い」を行い、利用者・家族の支援に当たり“チームとして統一した方向性で関われるように情報交換の場を設ける”などの「在宅チームの円滑な連携に向けた行為」や“一人で抱え込まず、訪問看護師同士で共助する”などの「ケアの質向上・維持に向けた看護職同士の協働行為」を実践していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当大学のカリキュラム改正に伴い、その準備のため研究時間が思うように確保できず、インタビュー調査の分析が遅れてしまった。現在、インタビュー調査の分析が進み、質問紙調査の作成に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
コンピテンシーに着目した訪問看護師の実践能力の構成要素を明らかにすることを目的としたインタビュー調査から抽出された構成要素、ならびに先行研究の文献検討をもとに質問紙御作成し、訪問看護師の就業環境およびキャリア経験の関連性を明確にする質問紙調査を実施する。質問紙調査はA県B県は県看護協会へ調査を依頼し、C県では訪問看護連絡協議会に調査を依頼する。 データ入力、分析には統計処理ソフトSPSSを使用し、分析を進め、分析結果は学会等に発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
訪問看護師のコンピテンシーの構成要素と訪問看護師の就業環境およびキャリア経験の関連性を明確にする質問紙調査を実施する。質問紙調査は、研究協力に同意の得られた訪問看護ステーションに就業する訪問看護師約500人を対象とし、質問紙の印刷や郵送等に必要な文具類、調査用紙の送付ならびに返送の通信費に使用する。 結果分析に当たり、国内外の文献ならびに関連図書の購入が必要である。
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