研究課題/領域番号 |
23792689
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
島村 敦子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (20583868)
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キーワード | 訪問看護 / 認知症高齢者 |
研究概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者と家族が効果的に訪問看護サービスを利用することで、認知症高齢者の身体疾患の悪化予防を目指す訪問看護導入アセスメント指標に向けた基礎資料を得ることである。2年目となる平成24年度の目的は、訪問看護に対するニーズおよび訪問看護導入に影響を与える要因を明らかにし、効果的に活用するための方法に検討することであった。具体的には、面接調査を実施し、得られた成果の一部を学会で発表した。 面接調査では、サービス利用者(認知症高齢者と家族)、サービス導入提案者(介護支援専門員)、サービス提供者(訪問看護師)を1組とし、6組、計18名(認知症高齢者本人2名、家族5名、介護支援専門員5名、訪問看護師6名)、および地域で活躍している認知症看護認定看護師1名から協力を得た。得られたデータを分析した結果、訪問看護に対するニーズには、認知症以外の疾患の悪化予防・治す医療に対する明確なニーズ、加齢・認知症・身体疾患井より衰退していく過程を共に情緒豊かに歩んでいく存在としてのニーズ、在宅ケアチームの一員として効果的にアプローチをしていく存在としてのニーズなどがあることが明らかとなった。さらに訪問看護に対するニーズは、訪問看護導入時から訪問看護を利用していく中で変化したり、新たに生じてくる特徴が認められた。また、訪問看護導入に影響を与える要因として、認知症高齢者の内服管理・医療処置、家族の状況などがあった。さらに、訪問看護とはどのようなサービスなのかについて、サービス利用者自身およびサービス導入者が理解していないこと、訪問看護サービスの単価が高いこと(介護保険制度による)などが認知症高齢者に対する訪問看護導入における課題であることが示唆された。 今後は、訪問看護導入時点および身体疾患の予防に焦点を当て、さらに調査を進めることが課題であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度には、訪問看護サービスを利用している認知症高齢者の事例について、サービス利用者(認知症高齢者と家族)、サービス導入提案者(介護支援専門員)、サービス提供者(訪問看護師)を1組として面接調査を行い、面接調査で得られたデータの分析を基に訪問看護導アセスメント指標(案)を作成し、アセスメント指標(案)を効果的に活用するための方法などの考察を深める予定であった。しかし、対象となる訪問看護サービスを利用している認知症高齢者の事例が少なく、さらに3者を1組としたため研究協力の承諾を得ることが困難であった。また、訪問看護に対するニーズは、訪問看護導入時点から訪問看護を利用していく中で変化したり、新たに生じてくる特徴もあり、身体疾患の予防に焦点を当てた十分なデータを得るに至らなかった。そのため、データを十分アセスメント指標(案)を作成することができず、当初の計画より遅れており、研究期間を1年間延長することとなった。 しかし、これまでの面接調査や得られたデータの分析より、今後の面接調査での課題が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、訪問看護サービスを利用している認知症高齢者の事例について、サービス利用者(認知症高齢者と家族)、サービス導入提案者(介護支援専門員)、サービス提供者(訪問看護師)を1組として、2事例程度を目指し、半構造的面接調査を実施する。なお、面接調査では、平成24年度の面接調査および得られたデータの分析より、課題としてあげられた、身体疾患の予防に焦点を当てた質問項目を検討し、少ない事例でも効果的にデータを収集できるよう工夫し、面接調査を実施する。面接調査は8~9月までに終了し、10月以降は、得られたデータを分析、統合し、訪問看護導入アセスメント指標(案)を作成することを目指す。また、研究成果を学会で発表することを通して、訪問看護導入アセスメント指標(案)を効果的に活用するための方法を検討していくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、訪問看護サービスを利用している認知症高齢者の事例について、サービス利用者(認知症高齢者と家族)、サービス導入提案者(介護支援専門員)、サービス提供者(訪問看護師)を1組として、10組程度の面接調査を行う予定であった。しかし、対象となる訪問看護サービスを利用している認知症高齢者の事例が少なく、さらに3者を1組としたため研究協力の承諾を得ることが困難となり、6組の面接調査となったため、研究費に未使用額が生じた。 平成25年度は、8~9月まで引き続き、訪問看護ステーションや自宅に出向いた面接調査(サービス利用者、サービス導入提案者、サービス提供者の3者を1組とし、2事例程度を目指す)を実施し、得られたデータの分析をする。また、10月以降は、得られたデータをさらに分析し、考察を深めるために研究成果を学会で発表する。これらのことより、訪問看護導入アセスメント指標(案)作成し、アセスメント指標を効果的に活用するための方法について検討を行う。以上のような面接調査および分析、成果発表を行う計画であるため、面接調査にかかる交通費、調査協力に伴うすべての対象者の時間的喪失に対する謝礼に使用する。また、面接調査で得られたデータを速やかにデータ化し、10月以降の分析を速やかに行うためにテープ起こし代が必要である。さらに、最新の知見を得、研究成果を発表し、考察を深めるために、学会参加費および交通費などが必要となる。
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