研究課題/領域番号 |
23792690
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
有本 梓 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90451765)
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キーワード | 児童虐待 / ネグレクト / 個別支援 / ツール開発 / 公衆衛生看護 / 保健師 |
研究概要 |
本研究は、保健師の効果的な児童虐待の発生予防とその評価を可能とするため、ネグレクトの予防と発見に焦点をあてた保健師の個別支援のガイドラインやアセスメントシート等のツールを開発することを目的とする。特に、保健師が接点を持つ機会が多い、3歳未満の乳幼児でネグレクトのリスクの高い家族への個別支援に焦点をあてることとした。 平成25年度は、1)従来の個別支援の実態に関する調査の分析・公表、2)1)および平成23・24年度の研究結果を統合し個別支援ツールの開発を行った。 1)1歳6か月児の母親を対象とする調査から、保健師への相談経験の有無による母親の特性の差異を検討した。保健師への相談経験がある母親では、相談経験がない母親に比べて、子どもの数が1人、子どもの発育・発達に関して心配がある者が多く(p<0.001)、特性不安・状態不安得点がともに高かった(p<0.05)。 2)アセスメント項目は、海外のネグレクトを含む虐待全般をアセスメントするツールを参考に、子ども、養育者、親子関係、家族、近隣や地域の状況、重篤度のドメインで構成した。子どもについては発達、健康状態、行動、養育者については身体的・精神的問題、育児技術・知識、育児行動、育児への態度、親子相互作用、等を含めた。ガイドラインには、ネグレクトの定義・種類・影響、アセスメント項目の活用方法、支援方法、支援経過の評価方法を含めた。 今年度の成果の意義は、調査結果および国内外での動向や知見をふまえて、保健師の個別相談ツールを開発できた点である。個別支援ツールは、育児支援の観点からも広く活用可能と考えられ、虐待予防と早期発見に資する可能性がある。今後は、本個別支援ツールの活用可能性についてさらに検討を進めていくことが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画で挙げていた計画はおおむね予定通り進められたが、追加データ分析の上国際シンポジウムへの発表と国際誌への投稿を行うこととしたため、成果発表がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23・24・25年度の成果を基に、追加データ分析の上、国際シンポジウムへの発表と国際誌への投稿を行う。計画を推進するために、専門家に協力および助言を依頼する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に、開発した個別支援ツールの評価を行うとともに国際シンポジウムへの発表と国際誌への投稿を行う予定であったが、分析の結果、計画を変更しデータ分析を追加した後にシンポジウム発表と投稿を行う必要が生じたため、次年度使用額が生じた。 追加データ分析と国際シンポジウムの発表、国際誌への投稿の成果発表費(投稿料・英文校閲・学会発表費用)として使用する。
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