研究課題/領域番号 |
23792695
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 美央 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00405052)
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キーワード | 重症心身障害児 / 母親 / 育児支援 / エンパワーメント |
研究概要 |
本研究は、重症心身障害児を育てる母親の育児支援プログラムの開発を行うことである。 本年は、①昨年度実施した国内外の文献レビューによる概念分析と、養育上の困難を抱える母親のempowermentの概念モデルの検証を行った。母親が育児の励みを見出す先行要件、属性、その関連要因、帰結について検証した結果、「家族要因」、「サービスシステム」、「地域社会」の構成要素を加え、再度概念枠組みの検証、及び構成要素の検討の必要性が明らかになった。我が国では、子どもの反応やサインの読み取りにくさによる母子分離困難が報告されており、「サービスシステム」との連携が取りにくい現状があるため、その点を踏まえたモデルの検証の必要性が示唆された。次年度は、概念枠組みの明確化と同時に、要素の関連性、及び各構成要素の内容を検証する。 ②また、在宅重症心身障害児を育てる母親のエンパワーメントに向けた支援の実態を明らかにすることを目的として、在宅重症心身障害児の母親に日常的・継続的に関わる、訪問看護師やレスパイト施設の看護師の重要な支援内容を調査するため、所属機関の倫理審査承認を得て、現在調査を進めている。母親の育児支援のためのケアを査定する際には、ケア内容だけでなく母親の認識する精神面の変化やケアへの受け止め方、認識を明らかにすることが必要と考えられ、母親の認識に影響する要素と看護実践の分析から育児支援プログラムを検討していくことが重要と考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画していた調査については、エンパワーメント測定ツールを我が国の重症心身障害児を育てる母親の特性やサービスの地域格差に応じて調査可能なように検討を進めている。次年度には調査を実施する準備が整っている。また平成25年度予定していた計画を本年前倒しして、母親エンパワーメントに向けた看護職の重要な支援を明らかにする調査を進めており、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、在宅重症心身障害児を育てる母親のエンパワーメントに影響する要因について、先行研究からの仮説をより高めることを目指し看護職への調査を実施する。また、母親が認識する看護師からのケアに対するエンパワーメント評価や地域サービスとの関係を量的に検討していく。 平成25年11月迄;母親エンパワーメントの側面と地域サービスとの関連モデル図を作成 平成26年2月まで;モデル図の精錬及び量的調査票作成の検討 平成26年3月末まで;在宅重症心身障害児の母親への重要な支援内容を明らかにするため、母親に日常的・継続的に関わる、訪問看護師やレスパイト施設の看護師から支援内容について予備調査を行う。 上記予定を念頭に入れ、スーパーバイザー3名との調整を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は在宅重症心身障害児を支援する訪問看護師やレスパイト施設の看護師へのインタビュー及び全国の在宅重症心身障害児施設への調査票の配布(1000 名程度)を検討して いる。いづれの場合も対象者リクルートは、全国の重症心身障害児施設に依頼し(→謝金、旅費)、研究対象者には、謝品をお渡しする(→1000 名×150 円)。アンケートは郵送法で回収を行い(→1000 名×90 円)、質的及び量的データ内容は業者に委託しデータ入力(→1000千円)を行う。調査・分析の信頼性・妥当性の確保のため適時、専門家より面接、メールによりスーパーバイズを受ける予定である。
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