研究課題/領域番号 |
23792697
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
寺西 敬子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10345580)
|
キーワード | 概日リズム / 認知症 / 高齢者看護学 |
研究概要 |
認知症を持っている高齢者は不安が生じやすく、高齢者のケアを行う上で高齢者個人が持っているリズムに沿った関わりが必要である。しかし認知症を持つ高齢者の概日リズムは崩壊している、はっきりしていないとされ、明らかとはなっていない。そこで本研究では、認知症を持つことで高齢者の概日リズムがどのように変化していくのかを明らかにすることを目的としている。 概日リズムの測定は測定機器を高齢者の手首に24時間装着して計測していくが、高齢者が施設スタッフ、研究者と安心した関係を築いたうえでの計測が高齢者の不安、負担を軽減するためには必要である。また、測定機器だけではなく、施設スタッフによる観察日誌による記録も重要であるが、高齢者一人一人で行動が異なるため、何を記録するかの意志統一も求められる。よって、本調査前にはスタッフと研究者による高齢者を把握するための打ち合わせを詳細に実施しながら測定を行っている。このことが測定したデータの分析にも活かされている。 目的として認知症の程度の進行に伴う概日リズムの変化をとらえることがあるが、これまで計測した16人のかたもほとんどは中程度から重度の認知症と、施設に入所してくる高齢者の認知症の程度が最初から重度のかたが多く、目的達成のために軽度で入所してくる高齢者の確保をめざし他施設への協力依頼をおこなっているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では認知症を持つ高齢者が施設に入所してから日時の経過に伴い、つまり認知症の程度が進行するにつれて概日リズムがどう変化するかを捉えていく。よって調査期間の最初から最後まで熟練した測定機器の取り扱い、統一された基準の観察日誌の記録が必要である。さらに個別性の高い、認知症高齢者の日常の活動をとらえるためには個人ごとの情報を共有するスタッフと研究者の詳細な打ち合わせが求められる。これらを行いながら測定をすすめており、このことは確実で科学的なデータの収集、高齢者、家族、スタッフにとっての安心感の提供、実際にデータを分析する際の視点の多様さにもつながると考えられる。実際、そのように進んでいる。よって概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
認知症の程度が軽度の状態で入所してくる高齢者が存在する老人保健施設に研究協力を行い、情報収集を行う。 軽度の場合、測定機器に対する疑問、研究に対する疑問も具体的に生じる可能性もあり、高齢者本人、主に家族である代諾者、スタッフ、研究者で研究の意義を共有し、倫理的な配慮を理解していただいたうえで調査をすすめていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
あたらしく依頼する施設での打ち合わせにともなう資料代、調査に必要な人件費、軽度の方は行動・活動も多く大量になってくるデータの整理・収集費用、分析にはカラー印刷による出力が必要であるためのカラープリンターのトナー、新たに増える施設や高齢者及びその家族との通信費として使用する予定である。 また、これまでの経過について学会発表を行い、意見を求めるためにも使用する予定である。 なお、次年度使用額が発生した生じた理由としては、平成24年度に認知症が軽度の状態で入所してくる高齢者からの情報収集も計画していたのに対し、中程度以降の高齢者がほとんどであったために、軽度の高齢者の情報収集が予定よりも少なかったためである。これにともない、調査に必要な人件費やデータの整理・収集費用、印刷費用等が使用されなかったため平成25年度の使用となった。
|