不安が生じやすい認知症を持つ高齢者のケアのためには高齢者の概日リズムにそった関わりが必要である。また認知症を持っていても概日リズムは崩壊ではなく何らかの概日リズムを示していることが筆者らによって観察されている。さらに認知症が進行すると概日リズムも変化することも、研究協力者である入所施設で長く関わる職員等に観察されている。そこで概日リズムの把握、認知症の進行に伴う概日リズムの変化について客観的な指標により明らかにすることを目的とした。 研究としては、概日リズムが周囲の環境等に影響されることが少なく、生活環境・生活スケジュールをある程度は一定にすることができる、施設入所中の高齢者を対象者とした。概日リズムの測定は腕時計型の測定機器を対象高齢者の手首に4週間にわたって24時間装着し(入浴時間は外す)、活動量を連続して把握した。さらに入所施設の職員による観察日誌と合わせて概日リズムを検討した。活動量の分析についてはこれまでも実施されてきたアクトグラムや一般的に用いられている睡眠指標だけではなく、活動量から自己相関分析によって自己相関係数を算出した。 その結果、24時間周期、72時間周期、72時間以上の周期という周期を数値化することができた。一方で今回の分析では周期の数値を求めることができなかった対象者が半数いた。さらに、認知症の程度が進行した高齢者において期間をおいて再度測定したところ、1回目調査では24時間周期だったのが2回目調査では24時間周期ではあるが自己相関係数が小さくなり、周期が弱くなった人等様々であったが、いずれにしても周期が変化していた。 今年度は上記の結果を分析し、学会発表を実施した。
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