研究課題/領域番号 |
23792699
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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キーワード | 排尿パターン / 介護負担 / 施設高齢者 / おむつ / 選択基準 |
研究概要 |
【目的】排尿パターンと腰部負担を考慮した施設高齢者のためのおむつ選択基準の有用性を検証するため、医療保険下のおむつ・尿失禁パッドを使用している高齢患者の排尿パターンを評価した。 【方法】1)対象者:循環器疾患でカテーテルを2週間以上留置し、研究協力が得られた高齢患者9名とした。2)研究方法:①対象者の年齢、疾患、入院日、現病歴、既往歴、カテーテル留置期間。さらに生活機能障害(ADL、意欲、認知)を入院前・介入時・退院時に調査した。②カテーテル抜去に関するアセスメント、排尿日誌によるモニタリング、排尿自立に向けた看護介入を行い、その効果を経時的推移から評価した。尿意と自尿・尿失禁・頻尿の有無、残尿の有無を2時間毎に確認し、排尿日誌を3日間記録した。残尿の確認には、携帯型超音波膀胱容量測定器 ゆりりんを用いた。 【結果】1)対象者の概要:対象者は80代6名と70代3名、女性6名と男性3名であり、生活機能評価(ADL、意欲、認知)は7名が入院前より退院時に低下した。2)取り組みと効果:3名は、カテーテル抜去後の排尿量の推移を確認し、ポータブルトイレでの排尿介助を選択した。その後排尿動作が自立し、自宅退院、または自宅退院を目標にリハビリ病院へ転院出来た。また3名は、測定後すぐに施設またはリハビリ病院へ転院となり、モニタリング結果を転院先へのサマリーとして情報提供出来た。一方の3名は、抜去後に自排尿がなかったため、泌尿器科医師と連携し、前立腺肥大や神経因性膀胱に対する治療を要した。さらに、認知症や合併症による状態変化もあり、オムツ全介助もしくはカテーテル再留置など排尿自立に至らなかった。 【考察】看護師が主体的に、急性期病院の循環器疾患をもつ高齢患者に対して排尿ケアを実施したことで、排尿行動の自立が図れた。そこから泌尿器科医師との連携や早期からチームで取り組む必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
排尿パターンに関して根拠に基づいた把握方法を確立でき、おおむね順調に症例検討を重ねているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長することにより、異なる疾患や障害をもち、おむつ・尿失禁パッドを使用している高齢患者を確保し、排尿パターン評価の症例を積み重ねて検討していく。そのためには、排尿パターンの測定・評価が出来る看護師の協力が不可欠であり、研修などの教育やチーム連携による支援体制を取り入れ、本研究をより効率的に推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後下記の支出を予定し、順次データ収集・解析を進めていく。 ・旅費(学会発表、研究打合せなど)280,000円 ・人件費・謝金(調査に伴う謝金など)1,000,000円 ・その他(資料郵便代など)5,913円
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