【目的】本研究は,高齢者の排尿パターンと介護者の腰部負担軽減を考慮した施設高齢者のためのおむつ・尿失禁パッドの選択基準を開発することである。今年度は前年度から継続し、医療保険下の施設に入院しおむつ・尿失禁パッドを使用している高齢者の排尿パターンを明らかにすることとした。 【方法】1)対象者:研究期間中に股関節症で手術を施行し、研究協力が得られた65歳以上の高齢患者。2)調査項目:①基本的情報(対象者の年齢、疾患、入院日、現病歴、既往歴、カテーテル留置期間、入院前の排尿行動など)、②生活機能評価(入院前・介入時・退院時のADL、意欲、認知)。3)排尿行動の自立にむけた取り組み:看護師が術前に本人・家族の排尿ケアに対する意向・理解度・経済的負担感などを把握し、術後はドレーンやEDチューブの抜去を確認し主治医の許可を得た上で、大腿骨頚部骨折の診療ガイドラインを参考に術後3日前後でカテーテルを抜去し排尿自立にむけて取り組んだ。4)分析方法:各事例について、排尿量の推移や排尿行動の変化、および本人・家族の看護介入に対する反応と思われる言動から、排尿自立にむけた看護介入の効果について事例検討した。 【結果】1)対象者の概要:年代は70代~90代、主疾患は大腿骨骨折(頚部/転子部)・変形性股関節症。2)排尿自立にむけた取り組みの評価:対象者のほとんどが看護介入によってトイレでの排尿動作が自立し、自宅退院することが出来た。一方、排泄ケアの看護介入により誘導によるポータブルトイレでの排泄が自立したものの、術後新たな疾患を発症し、体調悪化からカテーテル再留置し転科となった事例もあった。 【考察】これらの経緯より、看護師が術前から高齢患者に対して排尿機能をアセスメントする必要性、および術後早期からの排尿自立にむけた取り組みにより生活機能の維持・拡大につながる有効性が示唆された。
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