研究課題/領域番号 |
23792704
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久保田 正和 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80452267)
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キーワード | 在宅支援 |
研究概要 |
我々は在宅療養中の糖尿病患者を対象に、看護師によるテレビ電話を用いた定期的な交信が、日常生活における患者・家族の食事や運動、服薬等の自己管理をサポートし、血糖コントロールにどのような影響を与えるかを検討した。介入群は京大病院内分泌代謝内科において、外来通院中である糖尿病患者10名を選定した。テレビ電話にて相談に応じるのは看護師で、京大病院と研究対象者の自宅を双方向性に結んだ。交信は週1回、30分程度の相談で、12週間継続した。内容は、①1週間分の体重、服薬状況、運動実施状況等を記入したセルフチェック表を対象者とともに確認し、助言する、②カメラで撮影した実際の食事をテレビ電話モニターで確認し、栄養指導を行う、③健康状態の観察や助言、日常生活での相談を行う、であった。介入3ヶ月後、10名の平均HbA1c値は、介入前に比べ有意に減少した(p<0.005)。また、介入3か月後の体重も介入前に比べ有意に減少した(p<0.0005)。さらに介入終了後外来通院のみの生活に戻ったところ、介入終了3か月後の平均HbA1c 値は介入直後に比べ有意に増加した(p<0.05)。同様に介入終了3か月後の体重も介入直後に比べ有意に増加した(p<0.005)。 24年度は対照群として、研究期間を通して、外来通院のみ行った患者について、6か月間における調査を行った。その結果、平均HbA1c 値、体重に変化は見られず、介入群において平均HbA1c値、体重の有意な変化が見られたデータとは対照的であった。 看護師による糖尿病患者遠隔指導は平均HbA1c値、体重の客観的指標を変化させ、血糖コントロールの改善に有効であることが分かった。本研究においては、遠隔で指導できる看護師を確保することができれば、このシステムにより外来通院の数を減らす等、患者の負担や医療費の削減にも寄与できる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は学会での発表、論文発表まで到達したため、当初の予定通り順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のまとめは、24年9月の時点で国際雑誌にアクセプトされた。今後は認知症患者に対する遠隔リハビリテーションの有効性について研究を発展させていく予定である(科学研究費補助金基盤C)。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は論文別刷代である。出版社の都合により、雑誌掲載が遅延したため、別刷りが25年の4月に納品された。その別刷代をもって、本研究の研究費使用は終了となる。
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