研究課題/領域番号 |
23792706
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
心光 世津子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 看護師 (60432499)
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キーワード | リカバリー / 精神科 / 精神障害者 / 看護師 |
研究概要 |
本申請課題では、3年間をかけて、精神障害の当事者、家族、精神科医療にかかわる看護師それぞれの捉える「リカバリー(回復)」についてインタビュー調査により明らかにしていく。2年目にあたる平成24年度では、①調査準備を行い、②インタビュー調査を開始した。 ①調査準備 平成24年度より研究代表者が現所属機関へと異動となったため、改めて新所属機関へと本研究の倫理委員会への申請を行い、審査を経て承認を受けた。また研究プロトコルを学術集会にて発表し方向性の再検討を行った。他研究者と共同で研究課題に関する先行研究を分析し論文を発表した。研究協力者への聞き取りからインタビューガイド、対象者属性調査票を作成・修正した。デイケア、訪問看護ステーションへの研究協力依頼をした。 ②インタビュー調査 関西・関東地域において、まず精神科看護師を対象としたインタビューを開始した。精神科病院、総合病院の精神科病棟、外来、デイケアに勤務する看護師へのインタビューを行った。看護師の捉えるリカバリー像には、「変化そのもの」として捉えるものと、「プロセス」としてとして捉えるものとがあった。前者、後者ともに内容は対象者の経験により異なっていた。リカバリー像の形成に寄与した経験も、精神科における患者とのかかわりだけでなく、他の身体科との比較、同僚看護師との関係、私生活での人間関係における経験など、多様であった。本研究で採用している方法論(グラウンデッドセオリー)において必要十分な内容が得られたとされる「理論的飽和」の状態に達するには、依然としてデータが不足しており、平成25年度にも引き続き看護師を対象としたデータ収集を行う予定である。また、精神障害の当事者・家族に対するインタビューは準備段階にあり、平成25年度にデータ収集を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、1年目からパイロットスタディを行いインタビュー調査を開始する段階まで行う予定であったが、研究代表者の平成24年度からの異動に伴い、当初計画していた地域以外での調査の必要性、新規機関での倫理委員会の申請必要が出たため1年目は当初予定よりもやや遅れた状態であった。 2年目にあたる平成24年度では、調査実施前に現所属機関での倫理委員会申請と新規地域での研究協力者の調整を行う作業が必要であり、インタビューを行った対象者数の点においては計画当初の予定よりもやや遅れた状態で終えた。しかし、調査実施地域が増えたことでより多様な対象者のデータが得られており、複数の調査協力候補者からの協力もあり全体の研究経過としては大きな遅滞はないと考える。 最終年度は、次欄に述べる推進方策をとりながら、より一層の調査と分析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として次の2点が挙げられる。 ①研究協力者との協力関係の拡大:すでに得られている関西、関東地域の研究協力者に紹介等を依頼し、さらなる協力者を得ていく。 ②分析の効率化:テープ起こし専門業者の活用、分析、文献情報管理を補助するソフトウェアの活用などによる効率化。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、調査実施、協力者との打ち合わせ、分析、成果公表を行う。これらを円滑に進められるよう以下の使用計画を立てている。 ①物品費:データ収集・整理・保管に必要となる文具(用紙、ファイル等)および消耗品(乾電池、プリンタインク等)、分析・データ管理を円滑に行うためのソフトウェア、メディア等。 ②旅費:研究協力者との打ち合わせ、調査実施、情報収集のための国内旅費、研究成果を学会等で発表するための国内・海外出張のための旅費。 ③その他:学会報告時の参加費やポスター印刷、録音データのテープ起こし業者への委託費、国際学会ないし国際誌への投稿時の英文校正費。
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