研究課題/領域番号 |
23792710
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
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キーワード | リカバリー / 精神障害者 / 地域生活 |
研究概要 |
本研究の目的は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーに関連する要因を明らかにすることである。地域で暮らす精神障害者179名を対象に自記式質問紙調査を実施した。調査項目のリカバリーは24項目版Recovery Assessment Scale日本語版(RAS)用いた。リカバリーを応答変数,性別,年齢,発症年齢,薬の副作用の有無,身体的自覚症状,精神的自覚症状,情緒的支援ネットワーク認知,楽観主義,趣味や楽しみの有無,ピアサポートや講演会活動の参加の有無の10項目を説明変数とし,重回帰分析を行った。その結果,「楽観主義」「情緒的支援ネットワーク認知」「趣味や楽しみ」の3項目がリカバリーに有意な影響力を持つ変数として採択された。リカバリー促進のためには,活動面や心理社会的側面を重視することが重要であることが示唆された。 地域で暮らす精神障害者のリカバリーの関連要因を多角的に捉えるために,対象地域や対象者を増やし,現在も継続調査中である。今後は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーの特徴や背景要因との関連についても検討を深める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は調査項目を検討し,研究目的であるリカバリーの関連要因は検討することができた。今後も対象者を増やし,リカバリーの関連要因を検討することができると考えている。交付申請書に記載した研究計画・実施スケジュール通りに研究を遂行できているため,現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続して,デイケア,訪問看護,就労支援施設,地域活動支援センター等を利用しながら地域で暮らす精神障害者300名程度を対象に自記式質問紙調査票による調査を実施し,リカバリーの関連要因について分析を進めていく予定である。施設代表者に対して,事前に目的・方法等について説明しており,10施設以上の研究協力の承諾が得られている。多くの精神障害者の表現力が不十分であること,個性的・独自的な生活をしていることが予測されるので,対面による丁寧な聞き取り調査の方法を行う予定である。そのため,精神保健看護学分野を専門とする教員2名で調査場所へ出向き,アンケート調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品については,可能な限り大学の既存設備を利用するが,アンケートに必要なPPC用紙,インクカートリッジ,文具などの消耗品の補充を随時行う。アンケート結果を分析し,学会で発表を考えており,その際の旅費及び学会参加費が必要である。また,データーを分析する際に必要なパソコン及び統計解析ソフトの購入についても購入を検討している。
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