研究課題/領域番号 |
23792720
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
清水 準一 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40381462)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 訪問看護 / 在宅看護 / データアーカイブ / 調査方法 / ガイドライン |
研究概要 |
訪問看護事業所の回答負担を軽減し、これらを対象とした調査の回収率の改善により、質の高いデータに基づいた科学的知見の蓄積および政策決定につなげることを目的に、平成23年度は、3つの内容について研究を実施した。まず1点目として過去5年間程度の大規模な訪問看護事業所を対象として調査研究の報告書・論文等を精査し、調査項目の共通点等について検討を行い、主たる調査目的は異なるが、A4版2ページ程度は、法人種別、事業所規模、訪問件数、利用者の要介護度別分布など共通する内容であることが多く、事業所ごとにデータを作成しておけば、調査の際に繰り返し利用可能であると考えられた。2点目は、訪問看護事業所の調査の回答に関わる負担軽減策を検討するため、看護以外の研究者も集まる第70回日本公衆衛生学会総会の自由集会として検討会を開催し、意見交換を行った。大規模調査データについては、東京大学社会科学研究所等で管理している既存のデータアーカイブがすでに存在しており、これらをアレンジしながら活用することで、一部の項目には限定されるが回答者の負担を軽減しつつ、縦断調査と同様の成果が得られるなど、有意義であることが確認できた。調査対象の割振りや介護保険の公表サービスのデータを使用することも、回答者の負担軽減に役立つものではあるが、これらを管理する場(団体)やその経費負担などが今後の検討課題として指摘された。年度当初はこうした負担軽減策について訪問看護事業所の意向調査を行う予定であったが、研究者側の懸念事項を検討する必要が生じたため、次年度実施する予定であった関連領域の調査研究者を対象とした調査を前倒しして実施し調査票の作成を行ったが、研究倫理安全委員会の申請のタイミングに間に合わなかっため、実施は次年度に行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に計画していた3つの項目のうち、過去の関連分野の報告書等の収集と分析、回答者である訪問看護ステーションの調査協力に伴う負担の軽減策等に関する検討については、予定通り終了することができた。予定を変更して行う予定であった研究者を対象とする調査に関する実態・意識調査については、調査票の作成等の準備は進んだが、倫理委員会の申請時期の兼ね合いで24年度に実施を変更した。以上より、おおむね予定通りに研究目的に沿って進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に実施できなかった研究者等を対象とした調査、訪問看護ステーションを対象とした負担軽減策に関する意向調査、事業所に導入されている電子カルテシステムを活用した調査の回答システムについてのヒアリングなどを通じて、総合的に回答者の負担軽減策を例示し、改めて在宅看護関連の研究者との意見交換も行い、最終的には今後の調査の実施に役立つようハンドブックまたはガイドラインを作成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の残額は実施できなかった研究者向け質問紙調査を次年度に実施する際の諸経費として用いる予定である。また次年度については、今年度の研究成果を生かし、具体的なガイドラインを作成するための検討のための調査や会議の実施、電子カルテを用いた調査支援についてのソフトウェアメーカーからのヒアリング、負担軽減策についての意見に関する訪問看護ステーション向け調査の実施の経費として研究費を使用する計画である。
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