研究課題/領域番号 |
23792721
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
石川 志麻 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (50598919)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アウトソーシング / 保健師 / 介護予防事業 |
研究概要 |
市町村が介護保険法に基づいて行う介護予防事業の中でも特に委託率が高く、参加者数も多い、運動による介護予防事業について、業務委託の現状を量的に明らかにすることを目的に、A県内の33市町村(58区市町村)の介護予防事業主管課の保健師と、高齢者の運動による介護予防事業の受託事業者で運動指導や機能訓練の実務を担当している者への郵送による自記式質問紙調査を行った。 研究対象はA県内58区市町村の保健師各1名と、受託事業者の指導担当者各1名とした。事業者はホームページ等に情報公開している施設のうち、事業者数に応じて層化し、合計1000事業者を無作為抽出した。質問紙の回収は58区市町村中21か所(回収率36.2%)、通所介護事業所582か所中80か所(13.7%)、通所リハビリテーション事業所103か所中19か所(18.4%)、地域包括支援センター121か所中24か所(19.8%)、フィットネスクラブ109か所中25か所(22.9%)、A県内の入札システム登録事業者85か所中10か所(11.8%)、不明9か所であった。市町村の事業担当者が保健師ではないため回答しないという申し出や、守秘義務、事業所の方針などにより回答をしないという申し出が何件かあり、それらの要因が回収率を下げる原因の一つとなっていたと考える。回収できた質問紙のうち、全く受託していない事業者が大半を占めていたが、受託している事業者においては、1自治体のみの受託をしている事業者から14自治体もの受託をしている事業者まで幅が大きかった。また、5自治体以上の受託をしてる事業者も複数見受けられた。 自治体からのフィードバックを望む事業者の意見が多くみられる中、保健師の回答では委託事業者に対するフィードバックを「ほとんどしていない」から「ややしている」にとどまる市町村が多かった。今後さらに分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度中に質問紙調査の集計と分析が終了している予定であった。平成24年度4月より改正介護保険法の執行に伴い、介護保険サービス提供事業所や区市町村の事務手続きが増え、繁忙になることが予測されたため、質問紙回収期間を当初予定よりも長めに設定した。そのため、現在も質問紙の集計と分析を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の介護予防事業を拡大していくためにも、受託できる事業者が増えていくために保健師のマネジメント能力としてどのような能力が求められるのかを明らかにする必要がある。質問紙調査の結果より、現在受託している事業者からフィードバックを求める声が出ており、また事業者に対するフィードバックについて保健師も課題を感じている意見が見られた。そのため、相互に情報を共有し、有効なフィードバックを行うことを可能にする保健師の能力を明らかにするため、面接調査を実施する。受託事業者の実務担当者にも面接調査を実施し、より具体的に保健師のマネジメント能力として臨むことを聴取する。 また、質問紙のさらなる分析を進め、インタビューガイドに生かす。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査の結果を簡潔な報告書にまとめ、印刷する。報告書は面接調査対象者をリクルートする際に同封する。 保健師約10名、委託事業者の実務担当者約10名を対象に面接調査を行うために調査対象者をリクルートする文書印刷や郵送にかかる費用に研究費を使用する。また公務員ではない研究協力者には研究費から謝礼を支払う予定である。面接調査へ赴く旅費にも研究費を充てる。 インタビューを録音したデータを逐語録にするために外部委託する際の費用についても研究費を使用する予定である。
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