研究課題/領域番号 |
23792722
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
櫻井 信人 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (40405056)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自殺 / 自死遺族 / 支援グループ |
研究概要 |
本研究は、自死遺族が支援グループにどのようなケアや効果を期待しているのかを検討したうえで、自死遺族支援グループを運営し継続するために必要な要素を明らかにし、それらの結果を全国の自死遺族支援グループ活動が利用できるように発信していくことを目的としている。平成23年度は、研究者らが設立した上越地域における自死遺族支援グループの活動を継続しながら、活動実施の評価修正を繰り返してきた。当初は平成23年度に自死遺族を対象としたインタビューを計画していたが、現段階において対象者の選定に困難を要している状況である。そのため支援スタッフを対象としたインタビューの実施計画を同時進行とした。しかし、この場合においても対象者の選定が難しく調査協力が得られないため、様々なフィールドを開拓をしながら、ネットワークの構築や関係性の構築を中心に活動を進めていった。平成23年度のフィールドの基礎固めを踏まえて、来年度にかけて自死遺族または支援スタッフや専門職者を対象としたインタビューを計画していく予定である。 これまでに研究者らが実施してきた自死遺族支援グループの運営や活動、スタッフ間のミーティングを通して、自死遺族支援グループに参加する参加者は、語れる場の存在、安心できる場の存在、気持ちを共有できる場の存在、感情を表出できる場の存在、生活のリズムの調整、気分転換、自身の内面を見つめること、亡くなった人と向き合うこと、解決できない気持ちの整理、気持ちの変化と回復などを期待し、会に参加していることが考えられた。この点については、今後の活動においても繰り返し検討し、来年度以降のインタビューにおいても検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自死遺族支援グループの運営および活動については、地域のニーズもあり活動を継続している。この活動については、参加者の評価や地域の評価もあり、また自殺対策としての位置づけもあるため、なくてはならない存在となっている。この自死遺族支援グループの活動を通して、遺族のニーズなど明らかになった部分はあるが、他県の自死遺族支援グループの自死遺族や支援スタッフに実施予定のインタビューについては、協力や対象者の選定に困難を要している。これまでのフィールドリサーチや情報交換と連携などにより、いくつかのグループとは関係性ができているが、研究となると協力依頼が難しい面もあった。今後も引き続き、連絡を密に行い関係性を維持するとともに、学会やシンポジウムなどを通して、新たなフィールドの開拓も実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後について、研究者らが設立した自死遺族支援グループ「はじめの会」の活動を引き続き実施していく予定であり、運営や支援スタッフの確保にも努めていく。スタッフ間でのミーティングにおいては、活動を通しての自死遺族への効果的なケアや、自死遺族が期待しているもの、会の運営に必要な要素などの検討を行っていき、今後実施予定のインタビューの内容や分析の検討に用いていく。また、学会やシンポジウム、他グループの定例会などを通して、フィールドの確保を進めていく予定にしている。今後は、まず自死遺族支援グループの支援スタッフへのインタビューを優先して実施していき、その中で自死遺族のお話を聞ける機会があれば、自死遺族を対象に研究の依頼を行う。支援スタッフが対象の場合においても、インタビュー協力のお願いが難しいことが想定されるため、その場合は、自死遺族支援グループに関わっている行政の保健師やそのほかの職種の方も対象に含めていくことも検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、インタビュー対象者の選定のためのフィールドリサーチや、学会、シンポジウム等での新たなネットワークの構築、そして、自死遺族支援グループへのインタビューを実施する予定にしている。また、これまでの結果を6月に札幌で開催される精神保健福祉学会で発表できるように準備を進めており、研究費の中でも国内旅費の割合が高くなることが想定される。その他に、情報提供やインタビューの謝礼としての謝金、インタビューデータの逐語録作成費用、自死遺族支援グループの開催費用やスタッフ間での会議費用などが研究費として必要となっている。
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