本研究の目的は、小規模多機能型居宅介護利用者の医療・看護ニーズ、看護提供の効果および課題、看護師の機能等を明らかにし、施設や利用者の特色に合わせた効果的な看護提供を促進する方策を考察することである。 平成25年度は、平成24年度に行った、小規模多機能型居宅介護施設における看護についての質問紙調査の回答者の中で、本調査への協力の意向を表した看護師に対して面接調査を行った。 その結果、小規模多機能型居宅介護における看護師の活動について、利用者の日常的な健康管理としてはバイタルサインの測定・評価、下剤の調整や食事の工夫による排泄コントロール等、介護職との連携としては利用者の健康状態についての相談への対応、ケアの提案や依頼、他機関との連携としては医師への処方確認、情報提供書の作成等、家族への支援としては介護上のアドバイス、「泊り」利用による負担軽減等が行われていた。緊急時の対応は全施設で、ターミナルケアは13施設で実施されていた。小規模多機能型居宅介護の看護の長所としては、「臨機応変に必要な援助ができる」「切れ目なく管理ができる」等があげられ、課題としては「多面的なケアの水準を保つことが難しい」「医療面の判断で迷うことがある」「介護職との連携に課題がある」等があげられた。求められる支援としては、医療処置ができる制度づくりや看護師の専従・常駐化等があげられた。 本研究の結果から、臨機応変に必要な援助ができる等の小規模多機能型居宅介護の看護の長所が示される一方、看護の質の保証や他職種・機関との連携等に課題が示された。小規模多機能型居宅介護の看護の長所を活かし、課題への取り組みを促進するためには、公的な支援や制度の見直しも含めた今後の検討が必要と考えられた。
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